ゼノギアス
>>1-116、>>3-302、>>3-306、>>3-312、>>5-536、>>9-501、要約スレ>>1-183、要約スレ>>1-184
- 116 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 投稿日:03/11/17 17:27 ID:gybDMtR7
- ゼノギアス
主人公フェイはラハン村の普通の若者、しかし両親は既にいなかった。
明日は近所の知り合いのアルルの結婚式。
カメラ取ってきてと用事を頼まれ裏山にいるシタン(医者)の所にお使いに行く事に。
シタンに会い用事のカメラを受け取り、奥さんに夕飯ごちそうになって帰るフェイ。
と、帰り道。村に向かって行くギア(人間搭乗型戦闘ロボット)を見かけるフェイ。
するといつの間にかシタンもいて、危うい、村に急ぎましょうと言う。
村に現着した彼らが見た物は、ギアにより破壊されつつある村だった。
怒りを覚えるフェイ。ふと見ると放置されているギアが一体ある。
(実はこのギアは墜落したギアで、他のギアはこれを回収しにきたのだった)
搭乗し戦い始めるが、殺され続ける村の人々、フェイの感情は高ぶり……
気づくと裏山。聞けばフェイの乗ったギアが暴走し、
相手のギアもろとも村を破壊し、村人も殺したという。
狼狽えるフェイ。シタンはフェイにこの場を離れるべきだと諭す。
生き残った村人に罵られながら去るフェイ。
フェイは、シタンの勧めで王国アヴェに行くことになる。
1人で道中の森を抜けている最中、髪の長い少女エリィと出会う。
突然襲ってくるエリィ。
エリィはフェイ達をラムズ(地上人)と呼び、出会ったら殺せと言われていた。
道に迷っているらしく、取りあえず協力して森を抜けることになる。
その時、森の巨大怪物が2人を襲い、ピンチが訪れる。
と、シタンが村でフェイが搭乗したギアと共に現れる。
フェイは一瞬躊躇するも、そのギア・ヴェルトールに搭乗し怪物を撃退するのであった。
その夜遅く。野宿している3人。シタンはギアを修理していた。
そこへエリィが起きてくる。シタンは不思議な言葉を使い、エリィに話しかけた。
その言葉は、ラムズ(地上人)では知り得ない言葉だった。
驚くエリィ。シタンはエリィの身の上を知った上で、
ここから去ってくれと言う。エリィはその言葉に従い、その場を離れた。
(注:ラムズ(地上人)に対してエリィは自らをアバル(牧羊者)と称します)
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302 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 04/01/26 21:59 ID:Vq5WRRH1
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これよく分かるので、「ストーリーがよく分からなかったRPG」のスレッドからコピペ
345 名前:名無しさん@お腹いっぱい。 メェル:sage 投稿日:03/11/17 13:17 ID:aNUi2LI3
ゼノギアス簡略
OPは1万年前の舞台。人類は超高度な科学力をもちいて銀河系とかで繁栄していた。
(微妙にパラレルっぽいがこのあたりの話はゼノサーガで語られている)
しかし宇宙間では星間戦争と呼ばれる惑星同士の対立とかでいろいろ紛争だらけ。
そこで20XX年に発見した「ゾハル」をメインとする最終兵器デウスを製作し、戦争終結をはかる。
しかしデウス暴走し、惑星1つ破壊。こりゃアカンということで起動停止。運搬中。
運搬中にまたデウス暴走。乗組員およびたまたま乗船していた民間人全滅。船大破。
生き残ったのはアベルのみ(のちに転生してフェイ)
船はデウスごとゲームの舞台となる星に墜落。
348 名前:つづき メェル:sage 投稿日:03/11/17 13:28 ID:aNUi2LI3
デウスはプログラム復活のために壮大な再生計画を実行。
システムからミァンを分離して「原初の母」とする。
ミァンは天帝およびガゼル法院を生む。またデウスの部品となるヒトを大量増産。
世界を影から支配してヒトの進化を促す(デウスに取り込むため)
そして4000年前のゼボイム文明時代にはヒトが生殖能力を欠くという欠陥が生じたため
ミァンが核兵器を使ってほぼ全滅させる(ヒトのリセット)
500年前のソラリス戦役時代には、ヒトは進化の頂点に来たとガゼルやミァンたちは判断し、
デウス復活に向けて表舞台で行動開始。
ソラリスから全人類の支配をもくろむが地上人(特にアニムス)のギア・バーラーにより大苦戦。
さらにミァンが地上人のゾハルにコネクトできる技術(エーテル)に興味を持ち出す。
ガゼル法院をメイン部品として組み込むのより、アニムスの地上人組み込んだ方が良いと判断。
ミァンはラカン(フェイ)の前世と接触。ソフィアの不幸で落ち込んでるラカンに付け込む。
世界の破壊を暗に促す。ラカンはゾハルと不完全接触を果たしディアボロスを使い世界崩壊。
ミァンのヒトのリセット計画またもや成功。
349 名前:つづき2 メェル:sage 投稿日:03/11/17 14:08 ID:Nat4hRFU
ギア・バーラーとディアボロスの攻撃でガゼル法院はびびりまくり。
そこで地上人の遺伝子だかに直接リミッターを施して反乱しないように操作。
ラカンの肉体は滅びても魂はグラーフとして生存。全ての元凶であるデウス破壊のために
自らの肉体の転生を待ち続ける。
カレルレンは現実の戦争と悲劇に絶望し、ある意味では神ともいえる(ヒトがデウスの部品であり、分化体だから)デウスに対し救いを求め、デウス再生計画に手をかす。
そしてゲームの舞台へ。
ミァンの目的は取り合えずはデウス復活だが、ガゼル法院はその後の宇宙制覇に固執している。
カレルレンは完全なミァン(ミァンとエリィの再統合体)と一緒に仲良くデウスの部品になろうと考えている。
フェイの運命はゾハルから波動存在(宇宙の根源・あるいは創造主・真の神ともいえる無に揺らぐ存在)を解放すること。
理由はアベルが運搬船でたまたまゾハルに接触したためだが、詳しい経緯は不明(ゼノサーガで語られるかもしれない)
フェイは仲間たちと共に、デウスやガゼル法院の支配に反乱を起こす。
最終的にはデウスの破壊に成功、デウスのメインフレームの一部だったエリィも救出。波動存在も解放され、
ようやくヒトがデウスの支配(いずれデウスに帰還しなければならないと運命)から解放されました。
- 303 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 04/01/27 00:28 ID:94XchAM4
- フェイ…3年前記憶を失っていた青年。防衛人格?
イド…フェイの別人格。超強い。破壊大好きの困ったチャン。親父に封印されていた
?…本当のフェイ。母親の死を見てイドに全権委譲。引きこもった
ラカン(グラーブ)…フェイの前世。亡霊とかして生存、フェイの実父の体乗っ取る。
フェイの怒りを引き出してイド化させ乗っ取ろうとしていた。
生身でギアを倒す様はまさにマスターアジア
エリィの前世(聖女)とアッチッチだった。
親父…自分がラカンに乗っ取られていることを自覚。独自にフェイを助ける。
仮面といい、役柄といいまさにシュバルツ・ブルーダー
母…ミァン化し、フェイを覚醒させようと攻撃したが正気に戻りフェイを庇い
死亡した
- 306 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 04/01/27 01:23 ID:94XchAM4
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いきなり裏設定を見てもわからんよなぁ…ゲーム本筋はこんな感じ
3年前、記憶を失ってた青年フェイはとある村で面倒見てもらってる
明日は友達の結婚式。でも花嫁はフェイのことが好きっぽい
その日の夜、村が戦闘に巻き込まれる。北の帝国からギア(ロボ)を盗み出したらしい
「こいつ動くぞ!」撃墜された機体にフェイ乗り込む。敵撃破
友達目の前で蜂の巣に…「うわぁぁあぁ」暴走、大爆発。村消滅、花嫁シボン
気がつくと山の中…花嫁の弟ダン「この人殺し!」…「夢じゃなかった…」
傷心のフェイ。先生(ジタン)に言われ村を離れる…向かうは東の王国
途中の森で女軍人エリィと遭遇。村に不時着したパイロットはこいつ
銃を向けられるが「俺は人殺しさ…撃てよ…ヘヘ」とフェイ。
負い目があるエリィは結局フェイと協力して森を抜けることに
森のボス撃破。ジタン追いつく。彼はエリィの正体知っていて去るように言う
続きは誰かよろ -
ここからpart5の>>536の人によるまとめ
XENOGEARS 前半
目次(序説1 序説2 序説3 OP・アヴェ編キスレブ編アクヴィ編 ゼノギアス後半)◆序説1
ゼノギの物語を一言で言うと、人が神の呪縛(運命)から開放されて自立するお話、と成りましょうか。
その辺りを頭の片隅に置きつつ、まずはざっくりと大枠的なところから解説なんぞを。
3スレの>>302さんの書き込みと併せてお読み下さい。ゼノギアスは、宇宙の始まりから終焉までを描く一大叙事詩だそうで、
ストーリーは大きく分けて六つのエピソード(時代)に分かれます。まず、ワープ航法を使って恒星間を自由に行き来できるほどに文明が発達した星間戦争時代(EP1)
このEP1は、ゲームのOPにアニメーションで流れる程度で、ゲーム中ではあまり細かくは描写されません。
とは言うものの、この時代の船が未開の惑星に墜落した(しかも最新の戦略兵器と一緒に)事が、
ゼノギのストーリーの中核をなしているので(3スレの>>302参照)、無視は出来ませんが。EP2は、原初の時代。船が墜落した直後からあまり年代が経っていない時期のお話。
文明レベルとしては、古代ローマ帝国とか、その辺りの時代の雰囲気。
これもゲーム中ではあまり詳しくは語られません。次にEP3。墜落から約6000年ほど経った頃のゼボイムと名付けられた時代。文明レベルは近未来的。
この頃のヒトは、生殖能力に欠陥があるなど、種として弱いものでした。
最終的に、この時代の人間は、核戦争によってほぼ全滅します。
これもゲーム中では(以下略EP3より3500年ばかし経った頃の話がEP4。ソラリス戦役時代です。
世界支配をたくらむソラリスと、それに抗うシェバトを中心とする勢力との戦乱の時代。
ゲームのメインとなるEP5と年代的にも近いため、中盤以降この時代の話が色々と絡んで来ます。
この戦争は最終的に、突如現れた謎の第三勢力の破壊活動により、全人口の90%以上が失われるに至り、
生き残った人々が結託して第三勢力を打ち倒すことで終結します。EP5。ゲームのメインとなる時代です。EP4より500年ほど後の時代。
墜落から実に一万年。この時代に至り、未開の惑星を舞台にした神とヒトの因縁に終止符が打たれます。
詳しいストーリーは後々……。
EP6。ゲームのエンディング後の時代。
これはゲーム中では一切触れられません。てなわけで、大枠的なゼノギのストーリーの概観でした。
続いては、ゼノギのストーリーの大元、EP1ついて、少し詳しく。
引き続き3スレの>>302と併せてお読み下さい。◆序説2
西暦20XX年の地球、40億年程前の地層から後にゾハルと呼ばれる明らかに人工的な物体が発掘された。
解析の結果、それは約150億年前、すなわち、宇宙誕生の瞬間には既に存在していたことが分かった。
このありえない結果を受け、ゾハルの研究は一時凍結、研究再開には5000年の時を要した。その間、人類は宇宙への進出を続け、2500年ごろには宇宙への移民計画が発動された。
計画により年号が西暦からT.C.に改められてからおよそ300年後、人類は移民可能な惑星を見つけ、
そこを新たな母星とすることに。それからおよそ4500年後、各宙域で紛争が起こる星間戦争時代。
5000年の放置の後、再開された研究により、ゾハルによって事象変異が引き起こされることが分かり、
それを有効利用すべく研究する「プロジェクト・ゾハル」が立ち上がる。やがて制御システムである生体電脳カドモニとの連結によって制御が可能になったゾハルは、
無限のエネルギーを生み出す事象変異機関として、かねてより激化していた紛争を解決すべく
開発中であった生体兵器デウスの動力源として組み込まれ、星間戦略兵器デウスシステムが誕生した。
しかしながら、その起動実験の際、デウスシステムは原因不明の暴走を起こし、周辺宙域のコロニーに
次々と侵攻。軍により強制停止される。その後、デウスシステムは凍結されたまま、原因調査のために恒星間移民船エルドリッヂに収容された。
デウスシステムによって被害を受けたコロニーの住民らも収容して出航したエルドリッヂだったが、途上、
デウスシステムの突然の再起動によって船は制御を奪われ、本星(地球)へとワープを始める。
エルドリッヂの艦長はそれを阻止するべく自爆を決断。実行する。
ワープ中に自爆したエルドリッヂは、どことも知れぬ宙域に投げ出され、とある惑星へと墜落していった。ようやくOPにつながった……orz
次は、ストーリーを理解するうえで絶対避けて通れないデウスシステムについて解説します。
ちょっと設定厨っぽくなりますが、ご容赦。
引き続き3スレの>>302と併せてお読み下さい。◆序説3
デウスシステムは、実質的な攻撃兵器であるデウスと、動力源であるゾハル、ゾハルを制御する
生体電脳カドモニの三つの要素で構成されているのだが、このカドモニに予期せぬトラブルが
起こったことが全ての始まり。ゾハルとデウスの連結実験の最中、ゾハルの発するエネルギーのためか、はたまた、
事象変異と言う現象自体が原因なのか、次元の境目に歪みが生じ、三次元世界よりもっと高位の次元との
通路のようなものが開いてしまった。
高次元から降臨した波のような存在は、三次元世界では物質化できないために、カドモニの
メインフレームである生体素子ペルソナを一時的な拠り代とした(註1)。
さらにその時、試験場になぜか偶然、アベルと言う少年が紛れ込んでいた。
三次元世界に降臨して間もなく、定義づけがなされていなかった高次元存在は、アベル少年の
回帰願望を感じ取って母親と定義づけられ(註2)、生体素子ペルソナを女性の姿に進化させて
オリジナル・エレハイムを作り出した。アベルの定義づけによって三次元世界において物質の檻に閉じ込められてしまった高次元存在は、
高次元への回帰を願い、肉体であるデウスを破壊し自身を解放する接触者としてアベルを運命付ける(註3)。
その運命によりアベルは、肉体が滅んでも魂(語弊があるかも)に記憶が刻まれ転生を繰り返す事になった。その後、エルドリッヂの墜落により多くの構成物質を失ったデウスシステムは、
自身を復旧させる計画を実行する。
復旧に必要なものは、生体兵器であるデウスの部品を構成するための生体。
墜落時に各地に散らばったカドモニの部品であるアニマ。まずデウスシステムは、生体素子ペルソナから始祖の女性ミァン・ハッワーを作った。
ミァン・ハッワーはカドモニの構成部品アニムスから始祖の人間、天帝カインと12人のガゼルの法院を
作り、その後、人間の管理者として自らの分身、エレハイムとミァンを作った。
カインとガゼルの法院はデウスの部品としてのヒトの原型を量産し、以後、ヒトは進化を続けながら
増えていく。《オリジナル・エレハイムとミァン・ハッワーとエレハイムとミァン》
アベルによって高次元存在が定義づけられ、結果オリジナル・エレハイムが出来た。
ミァン・ハッワーとは、オリジナル・エレハイムがカドモニのプログラム「SystemHAWWA」によって
変容した時の名称であり、基本的にオリジナル・エレハイムと同一人物。
ミァン・ハッワーが分化した片割れのエレハイムは、高次元存在の(より正確に言うならば、
アベルの意思を受けとった高次元存在の)意思によって母としての役割を持って生み出された。
もう片一方のミァンは、純粋に管理者としての役割を持って生み出された。註1・・・この辺り、ちょっと曖昧です。大枠的には間違ってないと思いますが。
註2・・・能動主体による主観的な観測による定義づけ、とかゲーム中では言っていたような。
ようは、お母さんに会いたいとか言う思いが高次元存在に投影されてしまったと言う事かな?
註3・・・高次元存在の解放は、接触者にしか出来ないらしいです。
自分のケツは自分で拭けって事でしょうか。アベル君も災難です。これでバックグラウンドは一通り。初っ端から話のケツ割りまくりですがorz
ともあれ、デウスの復活が全ての話の根本に流れている事がご理解いただけたでしょうか?
ただ、デウス本体と高次元存在の目的が微妙に食い違っているから話が複雑になっていくのですなぁ。次回からは、ゲーム本編の進行に沿ってあらすじを書いてみます。
OP・アヴェ編
目次(オープニング スタート~ラハン出奔 黒月の森~輸送船 バルト登場~マルー救出 ニサン~)◆オープニング
I am Alpha and Omega,
the beginning and the end,
the first and the last.宇宙空間を航行する恒星間移民船エルドリッヂ。そのブリッジに警報が鳴り響いた。
移送中だったデウスシステムが突如再起動したのだ。
デウスに次々とハッキングされるエルドリッヂのシステム。
乗客は逃げ惑い、オペレーターは危機回避に追われる。
やがて、機関室すらも制圧された事を知った艦長は、退鑑命令を出す。
しかし、デウスに火器管制を奪われたエルドリッヂの砲は、脱出艇を次々と撃墜していった。
艦長はその光景を見てエルドリッヂの自爆装置を起動させた。
爆発、分解したエルドリッヂは、やがて一つの惑星の重力に捕まり、その大気圏に突入した。無数のエルドリッヂの破片が空に流星を描く中、比較的原型をとどめたパーツが海岸で炎を上げていた。
その黒煙が潮風で吹き払われたとき、そこにミァン・ハッワーがいた。
彼女はインディゴブルーの長い髪を風に翻しながらゆっくり立ち上がると、無感情に海を見つめた。
そのインディゴブルーの瞳に、空に走る流星が映り込んでいた。それから約一万年の時が流れた……
中心に砂漠が広がるイグニス大陸では、アヴェ王国とキスレブ帝国が数百年にも渡って戦争を続けていた。
長い時間の中で戦う理由も忘れられ、その戦争はただ冗長に続けられていった。
そんな時、二国の関係に重大な変化をもたらす発見があった。
過去の遺跡からギア・アーサー(以下ギア)と呼ばれる高機動ロボットが発見されたのだ。
ギアは、それまでの戦争の戦い方を根底から変える程の重大な発見となった。
アヴェ、キスレブの両国はこぞって遺跡の発掘を行い、続々とこの新兵器を戦力としていった。遺跡資源の量で勝っていたキスレブは、アヴェの領土を次々と侵攻。
そのままキスレブ側の勝利で戦争が終結するかと思われた。
だが、突如現れた援軍がアヴェに勢いを与えた。
神聖ソラリス帝国帝室特設外務庁(通称、ゲブラー)。
一切が謎に包まれたソラリス帝国からの支援を受け、アヴェはキスレブとの兵力差を縮小、反撃に転じ、
領土と遺跡資源の奪回を始めた。物語は、激化する遺跡資源であるギアの争奪戦とは無縁の、国境付近にある小さな農村、
ラハンから始まる……。◆はじまりは、山奥の村ラハン
ある嵐の夜、ラハンに大怪我をしたフェイが運び込まれた。
仮面をつけた不気味な男に抱きかかえられたフェイは、うわ言でその男のことを父さんと呼んでいた。
仮面の男は、フェイをラハンの村長に預け、いずこかへ消えていった。それから三年の月日が流れた。
フェイは、あの時の怪我が原因か、それ以前の記憶を失っていた。
しかし彼は、優しい村長や村人、親友のティモシーとアルルに囲まれ、絵を描いたり子供達に拳法を
教えたりしながら穏やかに暮らしていた。そのアルルとティモシーの結婚式を明日に控えた日、フェイはアルルの弟、ダンに呼び出された。
アルルが本当に好きなのはフェイだとダンに聞かされ、フェイは彼女に会いに行った。
アルルは明日身につける花嫁衣装を縫い終わったばかりだった。
それを眺めながら彼女は、フェイがもし生まれた時からこの村にいれば、とつぶやいた。
その言葉を無理やり茶化した彼女は、フェイに山の上で医院を開いているシタン先生から、
明日使うカメラを借りてきて欲しいと頼んだ。
フェイは複雑な思いを抱えたまま、山道に足を踏み出した。◆谷をこえ、ひとり山道をゆけば/つかのまの平穏 山頂の家にて
あらゆる学問に精通した学者であるシタンは、数年ほど前から、妻のユイ、娘のミドリと共に
山の頂上に住んでいた。
そのシタンの家に着いたフェイは、ユイに教えられて裏庭に向かった。
シタンは、裏庭でアヴェ軍の残していった小型飛行輸送機ランドクラブをいじっていた。
先に輸送機の修理をしてしまいたいと言うシタンを待つ間、フェイは倉庫の中にある、
遺跡から発掘された音響装置(オルゴール)を見に行った。
あちこちいじっていたフェイは、台座に書かれたこのようなメッセージを見つけた。"わが娘のたんじょうを祝して・・・・
世界中の夢と勇気と 愛を
きみに・・・・"やがて装置が動き出し、美しい音楽が流れ始めた。
その音楽を聴いて理由も無く切ない気持ちになったフェイは、困惑し、
修理を終えたシタンにその気持ちを打ち明けた。
シタンは、この曲を好きだった昔の誰かがフェイの中で生きているからかも知れない、
と意味深な事を口にした。
やがて、シタンに促されたフェイが夕食を食べに倉庫を出ると、シタンは一人に思案にくれた。
そのとき、オルゴールが突然砕け散った。
それを見たシタンは「始まるのか?」と呟いた。◆夜道で見た! 闇にふるもの
夜。シタンの家で夕食を取ったフェイは、村に帰るためにシタン家を後にして暗い山道を戻り始めた。
彼が谷間にかかる橋を渡ろうとしたとき、突然谷底から数機のギアが現れ、飛び去った。
その飛行音に気づいたシタンが山道を駆け、フェイに追いついた時、ラハン村の方角から爆発音が響いた。二人がラハン村に着くと、そこでは数機のギアが戦闘をしており、ラハン村は火の海となっていた。
村人が逃げ惑う中、ティモシーとアルルからダンが行方不明になったと聞いたフェイとシタンは、
二人を避難させて探し始めた。
ダンを探して駆け回るフェイの前に、敵機の攻撃を受けたギアがうずくまった。
パイロットが転がり落ちてきたコックピットを見上げたフェイは、そこに年端も行かぬ少年の姿を認めた。
ニタリと笑った少年にハッとしたフェイは、魅入られたようにそのギアに乗り込み、
操縦の難しい軍用ギアをまるで自分の手足のように操って戦い始めた。
フェイの戦いぶりを見たシタンは「彼が目覚めては……」とつぶやき、を必死に止めようとした。
そのとき、アルルの家からダンが飛び出してきた。彼は、アルルの花嫁装束をとりに戻っていたのだった。
シタンがダンを連れて逃げようとすると、ティモシーが戻ってきた。
そのティモシーに、一機のギアが銃口を向けた。
止めようとするフェイだったが、突然現れた黒い翼のギアに邪魔され、ティモシーを助けられなかった。
弾丸に貫かれ倒れるティモシーを見てうめき声を上げるフェイ。
彼の脳裏には、血を浴びた幼い頃の自分が浮かんだ。
その自分が、あの少年と同じようにニタリと笑ったとき、フェイもその笑いを口元に浮かべていた。
次の瞬間、彼の乗るギアは青い閃光を放ち、それによってティモシーやアルル、村人たちは消滅し、
ラハン村は壊滅した。◆旅立ち 樹海にのがれて…
フェイが目覚めると、あたりは一面焼け野原になっていた。
そこここには、焼け出された村人が力なく座り込んでいる。
フェイは訳が分からず、そばにいたシタンに事情を聞こうとした。
すると、ダンがフェイを激しく罵り始めた。彼の指差す先には、フェイが操縦したギアが
静かに佇立していた。
村人の恐れおののく声がフェイの耳に届く。
シタンは激昂するダンを、ギアのシステム暴走では…となだめようとしたが、
彼はその手を振り払って走り去ってしまう。
フェイは呆然としながらも、一旦村を離れてはどうかと言うシタンの言葉に頷き、
彼に教えられてアヴェへ向かうことにした。
俯いて歩く彼の耳にダンの罵声が蘇り、彼はそれを振り払うように、草原に向かって走り出した。◆出会い 緑の森の少女
ラハン村を後にし、草原を抜け、フェイは迷いの森とも呼ばれる黒月の森に入っていった。
沈うつな表情で森を行く彼の背中に、突然異国の言葉で声がかかった。
振り向くと、オレンジの髪を長く垂らした少女が銃を突きつけていた。
彼女はフェイを脅迫し、森の出口を教えるよう言ったが、強気な言葉とは裏腹にその銃口は震えていた。
フェイは撃つなら早く撃てと少女に迫っていった。
その行動に動じた少女は思わず引き金を引くが、弾は外れてしまう。
発砲にもひるまないフェイに恐怖する少女に、突如怪物が襲い掛かった。
「やめろーっ! "エリィ"に手を出すなーっ!」
フェイはそう口走り、怪物を打ち倒した。夜。目を覚ました少女に話しかけるフェイだが、彼女は地上人<ラムズ>に素性は明かせないと警戒する。
しかし、手当てをされたことに気づいた彼女は、森を出るまで共に行動しようと言うフェイの提案を
受け入れ、エリィと名乗った。
「ああ、そうか。そうだったよな、"確か"」
「??」
彼らは夜が明けるのを待つ事にした。◆緑の静寂をやぶるもの
フェイは夢を見ていた。砂漠の真ん中で幼い彼が泣いている。
そんな彼にエリィに良く似た女性が手を差し伸べた。
「ひとりじゃ、寂しいものね…」
彼女の優しい微笑みに、幼いフェイは泣き止んで手をとろうとした。
そこで彼はエリィに起こされた。
二人は、念のためメモリーキューブ(註1)に記録し、森の出口を探し始めた。道すがら、エリィはフェイに自殺志願のような昨日の行動について尋ねた。
フェイはラハン村で起こった出来事を話し、最初のギアさえ村に来なければと吐き捨てた。
それを聞いたエリィは、その夜の事を思い出していた。
キスレブから最新型のギアを奪取した彼女は、帰還途中、追撃機の弾丸を受け、
ラハン村に小隊と共に不時着したのだった。
そんな彼女の行動など露知らず、フェイは奴らさえ来なければと罵り続けた。
耐え切れなくなったエリィは、責任転嫁していると彼を断じ、激しく責めた。
血が騒いでどうしようも無かったと嘆いたフェイは、親しい人達を自ら殺めた悲しみと苦しみを
吐き出してへたり込んだ。
そんな彼にかける言葉が見つからず、エリィは一人で歩き出した。彼女は彼を責めた事を悔やんだ。
彼女の脳裏に、数人の死体に囲まれ、返り血を浴びて呆然とする自分の姿が浮かんだ。
俯きながら歩く彼女の前に、突然巨大な地竜が現れた。うずくまっていたフェイは、エリィの悲鳴を聞いて駆け出した。
彼は地竜の前で気を失っている彼女を見つけると、無謀にも地竜に挑みかかっていった。
そこへ、シタンが現れた。彼はランドクラブであのギアを運んできたのだ。
フェイはエリィを助けるためにやむなくそのギアに乗り、地竜を撃退した。
彼はそのヴェルトールと言うギアを持ってきたシタンを責め、もう乗りたくないと話を切り上げて
エリィの介抱に向かった。夜。ヴェルトールの整備をしていたシタンは、眠らずにいるエリィにソラリスの言葉で語りかけた。
シタンは、彼女がゲブラーの士官だと分かっている事を仄めかし、
フェイが眠っているうちに去って欲しいと彼女に告げた。
彼は、フェイを不毛な争いに巻き込みたくないのだ。
エリィは、フェイに謝っておいて欲しいと彼に伝言を頼んだ。
シタンは、選民思想のソラリスの人間らしくないと疑問を口にした。
『牧羊者<アバル>は地上人<ラムズ>を管理統制し、その生殺与奪の権利も持つ……』
彼女は、フェイを見て、地上人がソラリスの人間となんら変わりないと言う事に気づいたのだ。
エリィは、隊に復帰した後、どうするか悩みながら、夜の中へ去って行った。註1・・・メモリーキューブとは、ゲーム中のセーブポイントの事です。
◆森を抜けて、王国アヴェ領土へ
翌朝。昨夜の話を途中から聞いていたフェイは、エリィを責めたことを恥じた。
シタンはそんな彼を励まし、森を出るように促した。
そのとき、森に轟音が響いた。
空を見上げた二人は、アヴェへ向かうゲブラーの巨大な空中戦艦を見た。
シタンは大きな戦闘が始まるのではないかと不安を口にした。◆とまどい 砂漠の街ダジル
森を抜けたフェイとシタンは、ヴェルトールの補修パーツを手に入れるために、
遺跡発掘の拠点となっている街ダジルに向かった。
砂漠の中のダジルについた二人は、早速『教会』(註1)の工房に向かったが、
そこにはヴェルトールのような軍用ギアのパーツは置いてなかった。
その事を受け、ヴェルトールにいい感情を持っていないフェイは、放置しようと言う。
しかし、このままではいずれキスレブとアヴェの争奪戦が始まり、ラハン村にも被害が及ぶと危惧する
シタンは、何とか修理できないだろうかと思案をめぐらせた。
やがて彼は、砂漠で遺跡を巡る小競り合いがある事に思い至り、スクラップから部品を回収するべく、
フェイを残してサンドバギーに乗って砂漠に向かった。
一人残ったフェイだったが、砂漠に海賊が出る事を知って心配になり、シタン追って徒歩で町を出た。シタンを探して砂漠を駆けるフェイは、巨大な空飛ぶ円盤を目撃。その後を追うように通り過ぎる
アヴェ軍のギアが気になり、彼はバイクを盗んで走り出した。
日も暮れ、ギアも円盤も見失って途方に暮れていたフェイを、アヴェのギアが取り囲んだ。
間一髪の所でシタンの操縦するヴェルトールに助けられたフェイだったが、新手に囲まれ、
やむにやまれず操縦を代わって敵ギアを撃退した。その時、野太い笑い声と共に黒衣を纏った仮面の男が現れた。
フェイ「誰だっ! 誰?……そうだ、俺はお前を知っている……お前は…あの人を殺した……
あの人……? いや、殺したのは……」
フェイの脳裏に血を浴びた幼い自分が浮かぶ。やがて幼い彼は光の中でうずくまった。
幼フェイ「違う…僕じゃない…… 殺したのは……」
??「臆病者……」
幼いフェイが声に振り向くと、そこに少年のシルエットが立っていた。
少年「お前だよ」われに返ったフェイは、その男と共に現れた黒い翼を持つギアが、あの夜ラハンに現れたギアだと気づいた。
男はグラーフと名乗り、フェイの力を見るためにラハンの騒動を画策したと語った。
彼は、破壊を求めるフェイの本質と父親の最期を仄めかし、「神を滅ぼす」ためにフェイの力を求めた。
しかしいまだ力不足と切り捨て、試練を与えると言ってグラーフは去った。
困惑するフェイの前に怪物が現れた。彼は差し当たって怪物を撃退し、故障したヴェルトールから降りた。
心配するシタンと暗く考え込むフェイをアヴェ軍のギアが取り囲んだ。
二人は抵抗するすべも無く、捕らえられた。註1・・・この世界に於ける『教会』は、単なる宗教団体にあらず、過去の歴史を管理統制し、
その一環として遺跡資源(ギアなど)を修復する技術を独占している。◆襲撃! 熱砂のシャチ
フェイは夢を見ていた。グラーフと拳法家が睨み合っている。そのそばには赤い長髪の男。
「われらが一つとなれば……」
そう言うグラーフに、拳法家は「こやつは渡さん」と長髪の男を庇った。フェイは、アヴェの護送船の中で目を覚ました。彼は昨夜の出来事に思いを巡らせ、
そばにいたシタンに自分が何者なのか知りたいと漏らした。
なんにせよ囚われの身では如何ともしがたく、フェイはまた眠りに付いた。
彼が寝入った後、シタンは一人、天帝カインとの密談を思い返していた。
『福音の劫<とき>』。神の眠りと共に楽園から追放されたヒトが、再び楽園へと回帰する約束の刻。
それまでに天帝以下ガゼルが神を復活出来ねば、原初からの定めどおり滅亡しよう。
カインはそう、シタンに語った。その福音の劫が近づいている。シタンは確信した。その頃、二人の収容して砂漠を行く護送船を、海賊の潜砂艦ユグドラシルが狙っていた。
甲板のヴェルトールを狙う海賊に砲撃され、護送船は沈没寸前になった。
その混乱に乗じて抜け出し、ヴェルトールで脱出したフェイとシタンだったが、
息つくヒマもなく、海賊の親玉、片目のバルトの駆る赤いギア、ブリガンディアに襲われる。
アヴェ軍と思い込み問答無用で襲い掛かるバルトを、やむなくシタンを下ろして迎え撃つフェイ。
だが、二人の決着は、流砂が二人を飲み込んだ事で、付かないまま持ち越される事になった。◆脱出、大鍾乳洞! 地底の隠者
地底の鍾乳洞に落ちた二人は、とりあえず誤解を晴らして休戦し、出口を探す事にした。
その頃、地上ではユグドラシル乗員が護送船乗員の救助を行っていた。
甲板で、シタンはユグドラシルの副長、バルトとは逆の目に眼帯をしたシグルドと話していた。
シグルド「偶然とはいえ、よりによってお前に会うとはな」
シタン「偶然ではありません、恐らくは必然……」
シグルド「……何が始まるのだ……ヒュウガ……」鍾乳洞の中を、調子の悪くなったギアをなだめつつ進むフェイとバルトは、ポツンと建つ人家を発見した。
そこには、足音を聞いただけでギアの調子を見抜く、バルタザールという老人(以下バル爺)が住んでいた。
バル爺はここで物探しをしていると言い、その一部である化石を見せた。
老人は、一万年前を境に人骨が出土しなくなる事から、教会の唱える進化論よりも、伝承を信じると言った。
「神の楽園から追放された人間は、神を憎み、巨人を作って神に挑んだ。結果、善き心を持った一部の
人間を除いて人は滅ぼされ、神自身も傷ついて楽園と共に海中で永い眠りについた。」
話を終えた後、バルトはバル爺に、太古の昔に作られた全てのギアを超越する『ギア・バーラー』について
何か知らないかと尋ねたが、老人は「"そんなもの"は存在せん」と一蹴し、フェイたちのギアを修理する
ために出て行ってしまった。
部屋の二人がギア・バーラーについて話していると、ヴェルトールをいじっていたバル爺が声を上げた。
二人が様子を見に行くと、バル爺は呻いて言った。
「こいつは……神を滅ぼす者の拠り代……」
その言葉について問いただそうとするフェイ達だったが、けんもほろろに追い出されてしまった。バル爺に追い出され、教えられた出口に向かう二人は、途上、自律行動型のギア、カラミティに襲われた。
隙をつかれて袋叩きにされたヴェルトールだったが、突然暗黒の波動を伴った拳でカラミティを消し去る。
なぜそんな技が出せたのか分からず困惑しつつ、フェイはバルトと共にその場を後にした。
その後、鍾乳洞を脱出した二人は、バルトの案内でユグドラシルとの合流地点に向かった。◆海賊アジト 戦う理由、死ぬ理由
ユグドラシルに合流し、シタンと再会したフェイは、そのままバルト達のアジトまで同乗する事に。
アジトに到着した後、フェイとシタンは、バルトの教育役である執事のメイソン卿に案内され、食堂へ。
そこで二人は卿から、バルトがアヴェ王国の王子バルトロメイ・ファティマその人である事、先代王亡き後、
宰相のシャーカーンに幽閉されていた所をシグルドらが救出した事、その後、王権奪還の兵力を養うために
海賊行為をしていた事を聞かされた。
さらに、バルトの従妹であり、ニサン法皇府の教母マルーが、『ファティマの至宝』入手を狙う
シャーカーンに囚われている事を聞かされた。マルーは、ファティマの至宝の在り処を記した
『ファティマの碧玉』の半片を持っているのだ。
ファティマの至宝とは何か、と言うところまで話が及んだとき、バルトが食堂に現れ、至宝について
書かれた絵巻物を見せると言ってフェイたちを作戦室に連れて行った。
スクリーンに映し出された500年ほど前の絵巻には、炎を纏った巨人の力を借りてアヴェを建国した
ファティマ一世が、巨人をとある場所に眠らせた事が書かれていた。その巨人が至宝なのだと言う。
そこまで話し、バルトはマルー救出の助力を願い出たが、これまでの出来事に頭がパンク寸前だった
フェイは、付き合ってられんとブチギレて部屋を飛び出した。
シタンに事情を聞いたバルトが後を追ったが、フェイは戦う理由も無く、また、戦うのも誰かを傷つける
のもイヤだとバルトを突き放した。バルトは、ラハンのような悲劇を繰り返さないためにも戦争を
なくすために戦わなければいけない、それが戦う理由ってヤツではないか? と問いかけ、去った。
暫く佇んでいたフェイは、シグルドに呼ばれ甲板に連れて行かれた。艦首でポエムっているバルトを
見ながらシグルドは、フェイにはバルトと共有できるものがある、バルトを助けてくれと頼んだ。その夜、アジトに侵入警報が鳴り響いた。ランクを隊長とするゲブラー特殊部隊のギアだった。
バルトたちが迎撃に向かう中、混乱を極める状況をみながら、自分は何をするべきか何をしたいのかと
苦悩フェイの姿があった。
一方、格納庫から出力未調整のじゃじゃ馬ギア、ヘイムダルに乗って出撃したシタンは、
特殊部隊のタフさから、戦意高揚剤『ドライブ』を服用している事に気づいた。
その頃、特殊部隊のフランツのギアが子供達に迫っていた。だが、間一髪の所でヴェルトールが駆けつける。
フェイの加勢もあって特殊部隊は撤退、アジトを守りきった。アジトの混乱も落ち着いた頃、フェイは、自分にできる事をやりながら自分の道を見つける、そう言って
バルトたちに協力すると告げた。
その後、彼らはマルー救出のため、ユグドラシルに乗って王都ブレイダブリクに向かった。◆潜入、王都アヴェ! 偽りの王
ユグドラシルがアヴェ王都ブレイダブリクに向かっている頃、同じく王都に、ゲブラー総司令官ラムサスを
艦長とする空中戦艦が、国境付近のキスレブ軍の掃討作戦を終え帰還した。
前任の指揮官であり大鑑巨砲主義の筋肉脳ヴァンダーカムと傀儡政権の宰相シャーカーンに迎えられ、
副官のミァンを伴って艦を降りたラムサスは、シャーカーンの案内で王城内のマルーに会いに行った。
ラムサスは、一人称"ボク"娘のマルーから至宝の事を聞き出そうとするが、彼女は知らないという。
それを見ていたシャーカーンは、『本国』にも報告していないマルー確保の情報が漏れた事を訝かった。一方その頃、フェイ、シタン、バルトの三人はブレイダブリクに入り、マルー救出の為に情報収集していた。
その結果、街の地下水道が城につながっている事、国を挙げての祭りである大武会が翌日開催される事を
知り、フェイが大武会に出場し、盛り上げて兵士の目を惹きつけ、その間にバルトが地下から城に潜入して
マルーを救出する作戦を立てた。◆王都アヴェ 嵐を呼ぶ大武会
翌日、作戦決行の時。フェイは会場に向かい、偽名を使って大会に参加した。
参加者控え室で、フェイはラハンのダンと再会する。ダンは、村の恨みを晴らすと言って控え室を出た。
困惑するフェイに、仮面の男ワイズマンが話しかけた。彼は、フェイがどう戦うか興味があると言った。
「まぁ、楽しみにしているぞ、"フェイ"」
「(なぜ俺の名前を……? 偽名で参加しているのに)」開会の演説を終えたシャーカーンを、ラムラスとミァンが訪れた。立ち寄っただけと立ち去るラムサスを
尻目に、ミァンは一回戦の舞台に上ったフェイを見て一言。
「まぁ、素敵な子……」一回戦、二回戦、三回戦と精一杯会場を沸かせて勝ち上がったフェイは、準決勝でダンと戦う事に。
アルルの、ティモシーの、村人の恨みだと叫びながら戦うダンだったが、反撃してこないフェイにいらだち、
彼にアルルの花嫁衣装を叩きつけて走り去った。
鬱りながらも決勝に望んだフェイは、そこでワイズマンと当たった。軽々と攻撃をかわすワイズマンに
フェイは焦り、必殺の武技雷迅を仕掛けるが、それすらかわされてしまう。
戦いの最中、ワイズマンはフェイに戦う理由を問いかけ、自分の事しか見ていないと断じた。そして、
「よくあの怪我から回復したものだ。フェイよ……」
と、謎の言葉を残し、彼は姿を消した。結局、うやむやのままフェイは大武会の優勝者となった。◆再会マルー ファティマ城脱出
一方、地下水道から城内に入ったバルトは、天守閣でマルーとの再会を果たしていた。
マルーお気に入りのぬいぐるみと共に部屋を出たバルトは、そこでラムサスとミァンに見つかってしまう。
バルトがラムサスと戦っている最中、大武会を終えたフェイが追いつき、加勢した。
武技雷迅を受けたラムサスは、エルルの悪夢(註1)を思い出していた。
赤い長髪の男が素手でソラリスのギアを次々と撃破する。その男が武技雷迅を使っていたのだ。
さらにラムサスは、"フェイ"と言う名前にも聞き覚えがあった。
??「フェイ……それが私の子の名前……」
ラムサスがひるんだ一瞬の隙をつき、フェイたちはその場を離脱した。
ラムサス「(やはり奴なのか……奴であるならば……俺は……塵<ごみ>……)」
兵士に追跡を命じ、ラムサスはそう考えていた。註1・・・数年前にソラリスが行ったエルルという国の大粛清。その最中、グラーフと赤い長髪の男の
突然の乱入により、ソラリス軍は壊滅。ラムサスは指揮官として参戦していた。◆マルー救出! 一路ニサンへ/やすらぎの都 ニサンの聖母
ラムサスから逃げおおせたフェイたちは、ゲブラー基地内に入り込んでしまい、そこでエリィと鉢あった。
彼女は、追っ手が迫るフェイたちを自分の宿舎に連れて行きかくまった。
追っ手の気配が消えた後、自分の素性を語るエリィに、フェイは森での事を謝った。
フェイたちがマルー救出に来たと知ったエリィは、彼らをギアの射出口に案内し、脱出させようとする。
脱出間際、フェイは一緒に行こうとエリィに言うが、彼女はここが自分の居場所だと悲しげに言った。
「今度会うときは……敵同士ね」一方、フェイたちを追おうとしていたラムサスは、予想もしない訪問客に驚いた。
伝令「(閣下……ヒュ……様が)」
ラムサス「……奴め…今時分何用でここに」無事フェイたちが帰還したユグドラシルは、マルーが教母を務めるニサン法皇府へ向かった。
その途上、フェイは様々な話を聞くことになる。
マルーがアヴェに捕らえられた事の顛末。以前、バルトとマルーが王城から逃げ出した時に、王国の
主力兵器であるユグドラシルをも奪ってきた事。ユグドラやギアの動力源、スレイブジェネレーターについて。
ゲブラー総司令のラムサスが着任した事により、ゲブラーの目的が遺跡発掘だけではない事。マルーの
持ってきたぬいぐるみが、実はチュチュという妙な生物で、フェイに一目ぼれした事などなど……。
さらにフェイは、バーで話し合うシグルドとシタンの不可解な話を、バルトと盗み聞きしてしまう。様々な思惑を乗せたままユグドラはニサンに到着し、フェイたちは修道院へマルーを連れて行った。
そこでひとしきり修道女達と再会を喜び合ったマルーは、フェイたちを肖像画の間へと案内する。
ニサン建国の母でありニサンの教義を創った初代大教母ソフィア。描きかけの肖像画以外の記録は
残されていない彼女は、言い伝えでは500年前に人々の為に自らを犠牲にし、神の下に召されたという。
その肖像を見て、フェイはエリィにそっくりだと言い、シタンは筆運びがフェイに似ていると言った。
肖像画に見入るフェイの脳裏に、遠い日の記憶が蘇った。
この部屋でソフィアの肖像を描く自分。ソフィアは彼の事をラカンと呼んでいた。修道院を後にした彼らは、アヴェのニサン侵攻の情報を聞き、作戦を練るために宿屋へ向かった。
そこでバルトは、ゲブラーに詳しすぎるシグルドに説明を求めた。
シグルドとシタンは自らの経歴やソラリスについて語り始めた。天空にあるソラリスは、地上人をラムズと呼び、労働力として地上から拉致したのち洗脳している事。
シグルドもそうしてソラリスへ行き、政府の一員として活動していたが、出奔して戻ってきたという。
純粋なソラリス人は人口のおよそ1/4しかおらず、多くが地上から連れ去られたラムズと、下層市民街に住む
ラムズの間に生まれた人間であると言う。シタンとラムサスも、下層市民街の生まれだった。
だが、卓絶した能力を持っていたラムサスは異例の速さで出世し、それまで身分重視だった体制を能力重視の
体制に変えようとした。シタンとシグルドはその理想に同調し、共に助けあった。
しかし、軍の要職に付いた二人はそこでソラリスと地上との関係を知った。単なる労働力だけではなく、
『ドライブ』に代表される薬の実験体として地上人が使われている事も。
フェイ「ドライブってのは、ソラリスの軍人なら誰でも使うのか?」
バルト「お前、エリィの事が気になるんだろ。あったぜ、あいつの部屋に」
フェイ「(´・ω・`)ショボーン」フェイに軽く嫌がらせした後、バルトは一息つくために外へ。
信頼していたシグルドの、予想を超えた過去を知ってショックを受けたバルトは、後を追ってきたシタンに
もっと早く教えてほしかったとこぼした。
シグルドの事を良く知っているシタンは、アヴェの平定を成し遂げるまで余計な心配はかけないようにと
気を回していたのだとフォローし、まずは王権奪還に集中するよう諭した。◆アヴェ奪回作戦! 決死の反撃
宿屋での話の後、彼らは議事堂へ集まり、王都奪還の作戦を次のように立てた。
アヴェに常駐しているゲブラーを王都から引き離すために、バルトらが以前拿捕していたキスレブ製の
ギアでニサン国境の西方警備隊を急襲、キスレブの侵攻と見せかけゲブラーを誘い出し、その間にバルトら
主力部隊が王都奪還へ向かう。さらにフェイを含む別働隊が、国境付近の前線部隊に配備された戦艦
キファインゼルを旗艦とする無敵艦隊を足止めし、王都への撤退を阻止する。
この奪還作戦は明朝決行と決まった。翌朝、彼らを乗せたユグドラシルは、マルーと修道女達に見送られ、王都に向かった。
途上、フェイたち別働隊は国境に向かうためユグドラシルを離艦した。その直前、バルトはフェイに、
「俺がもしもの時はマルーを頼む」と言って彼を見送った。その夜。ユグドラの甲板でバルトがシグルドと語り合っていた。
バルト「王様ってのは、誰でもいいんだろうな……希望の象徴であれば、俺じゃなくても」
シグルド「私がソラリスの洗脳から逃れられたのは、『帰らねば』と言う強い思いがあったからです。
その時に思い出したのは、一国の王子ではないただの子供の若とマルー様でした。私は、王権
などどうでもいい。若の家だから取り戻したいのです……」ラムサスは夢を見ていた。エルルの粛清に赴いたソラリスのギア隊が、たった一人の生身の男に次々と
撃破されてゆく。やがて男は真紅のギアに乗り込み、ラムサスに向かって来た。彼は叫び声を上げた。
目を覚ましたラムサスは、心配するミァンを生返事を返し、寝室から出て行った。
一人残ったミァンの所に、突如グラーフが現れた。彼はミァンに余計な手出しをするなと釘を差した。
ミァン「心配しないで……。貴方の大事な物を奪ったりはしないわ。だって貴方は私を……」翌朝。ラムサスの空中戦艦にエリィと特殊部隊のランクたちがいた。エリィは、今回の任務でランクたちの
隊長に任命されたのだ。彼らに意地悪く茶化されながら、彼女は仕官専用ギア、ヴィエルジェに乗り込んだ。その頃、フェイたち別働隊は国境前線部隊の裏をかくべく、岩山を登っていた。
頂上にたどり着き、峰を越えようとしたとき、彼らのレーダーがゲブラーのギア部隊の接近を感知した。
ゲブラーのギアを一手に引き受け、他の隊員を先行させることにしたフェイの前に現れたのは、エリィの
率いる特殊部隊の面々だった。
ランクらは海賊アジトでの雪辱に燃え、エリィを無視してヴェルトールに挑みかかるが、あっさり撃破。
二度の敗戦が信じられないフランツはさらにドライブをキメて戦おうとする。
その最中、エリィは苦悩していた。命令とはいえフェイとは戦えない、後はドライブを使うしかない、と。
彼女の脳裏に苦い記憶が蘇る。軍の要職にある父を持つエリィは、他の兵士から疎まれていた。ある日、ドライブをキメた同僚達に追われ、
無理やりにドライブを打たれてしまう。その結果、力が暴走して同僚達を殺してしまったのだ。
死体が散乱する血の海にうずくまり呆然としていた所を拘束された彼女だったが、上層部は暴走した力に
耐えられなかった同僚が愚かなのだとお咎めなしとした。しかし、彼女にはトラウマとなってしまった。苦悩するエリィをよそに、精神が壊れるとのランクの制止も聞かずドライブを打とうとするフランツ。
フランツ「どうせボクは元から壊れてるんだァァーーーッ!!」
エリィ「やめなさいフランツ。私が……やるわ……」ドライブを打ち、まるで人が変わったかのようなエリィがフェイに襲い掛かる。
エリィ「ははは、もがけ! 踊れ!ここで朽ち果てるのよ!」
彼女はエアッド(註1)を使ってフェイを追い込んでいく。
エリィに攻撃できず、防戦一方のフェイだったが、やがてドライブの切れ掛かった彼女が苦しみ始めた隙を
つき、ヴィエルジェを押さえ込んだ。そして、フェイの呼びかけに応えるように彼女は自分を取り戻す。落ち着きを取り戻した後、ヴィエルジェを降りたエリィはフェイに語った。
自分では認めたくない、制御できない力が自分の中に潜んでいる。それに支配されてしまう。しかし、仲間を
助けるためにはこうするよりほかに無かったのだ、と。
お互いに似た境遇にあることに気づき、フェイはエリィの力になろうとするが……。
フェイ「変えられないのか……?」
エリィ「そんな顔しないで。私には選ぶ事なんて出来ない。私の唯一の居場所だから……」
彼女に、できる事なら軍を抜けろ、そう言ってフェイは先行した隊員を追った。その頃、王城でバルトたちはシャーカーンの兵に囲まれていた。彼らの前にはシャーカーンとミァンが。
ラムサスのいない事に気づいたシタンは、作戦の失敗に気づいた。
ラムサスはバルトらの作戦を見破り、西方警備隊の援護に向かっていたのだった。
バルトたちに兵の銃弾が撃ちこまれようとしたその時、いち早く異変に気づいたメイソン卿がランドクラブで
駆けつけ、バルトたちを収容してその場を離脱した。註1・・・精神波<エーテル>(註2)感応誘導式モジュール。エーテルによって無線誘導するビーム兵器。
これを使えるのはごく限られたエレメンツ(註3)クラスの者だけらしい。(ランク談)
註2・・・ゲーム中では魔法のような位置づけ。超能力のようなもの。
註3・・・元来はラムサスがユーゲント(註4)時代に設立した精鋭集団。現在ではラムサス直属の近衛部隊。
註4・・・ソラリスの指揮官養成学校。シタン、シグルド、ミァン、エリィも所属していた。◆緋の鬼神 悲しみは熱砂の海に
国境の前線部隊の裏を付いたフェイたちは一気に旗艦キファインゼルを目指した。
彼らを迎え撃つ司令官は、筋肉脳ヴァンダーカム。彼は迎撃のギアを下がらせ、主砲による決着を図った。
しかし、機動力で遥かに上回るヴェルトール以下ギア部隊は、砲弾を回避しつつ着実に進撃。
キファインゼルに取り付いて主砲を破壊した。
退艦命令が発令され、乗員がヴァンダーカムを無視して退避する中、彼は巨大ギア、ドーラに乗り出撃する。
通常の数倍はあろうかと言う巨体とその装甲の厚さに手を焼きつつ、それでもフェイらはこれを撃破した。
度重なる敗戦に呆然とするヴァンダーカムの前に、グラーフのギアが現れた。
グラーフ「我が拳は神の息吹。"堕ちたる種子"を開花させ、秘めたる力を紡ぎだす。美しき滅びの母の力を」
グラーフのギアの右腕から発せられた波動がドーラに注がれた。その頃、王都を離脱し、ニサンに向かっていたユグドラシルは、ラムサスの駆る潜砂艦の攻撃を受けていた。
推進器にダメージを受け浮上するユグドラシルを前に、ラムサスは逡巡した。
ミァン「あら、お迷いになるなんて珍しい」
ラムサス「古い友人と約束してな。手加減せねばならん」
彼は、シグルドがソラリスを出奔するときの事を思い出していた。裏切り者!彼はシグルドにそう叫んだ。グラーフのギアが去った後、ドーラは突然再起動して襲い掛かってきた。それまでとは桁違いの破壊力に、
ヴェルトール以外のギアが次々と大破していく。その光景を前に、フェイは次第に壊れていった。ユグドラシルを取り囲んだ艦隊に、異常事態が起こった。
突然現れた真紅のギアに次々と艦が沈められて行く。ラムサスがエルルの悪夢と呼ぶ、あの時のギアだった。
そのギアを見止めたラムサスは、目の色を変えて飛び出した。
ブリガンディアに迫らんとする真紅のギア。そこへラムサスの駆る専用ギア、ワイバーンが割り込んだ。
だが、ワイバーンは一撃の下に腕を飛ばされてしまう。「ぐわっ! そんなバカなっ!」(ラムサス談)
ラムサスがあっさりと退場した後、真紅のギアは再びブリガンディアに迫った。
真紅のギア「モーターのコイルもいい塩梅にあたたまった。そろそろメインイベントと行こうか」
その時、ユグドラシルが全速で突っ走り、砂丘のクレストを利用してジャンプ、真紅のギアにのしかかった。
しかし、真紅のギアはユグドラシルを片手で受け止め、そのままブリガンディアに放り投げた。
地面に叩きつけられた艦は壊滅的なダメージを受けた。艦内が混乱を極める中、シグルドはシタンを
ヘイムダルと共に脱出させた。そして、ユグドラシルは砂の海に沈んで行った。ヘイムダルを乗せた脱出ポッドは風に流され、国境付近に不時着した。
そこでシタンの見たのは、見るも無残に破壊されたドーラの残骸だった。
シタン「この有様……やはり同じですね……」
キスレブ編
目次(スタート~バトリング優勝 ヴェルトール奪回~ゴリアテ撃墜)◆とらわれの鳥 キスレブ帝都
キスレブ帝都ノアトゥン中央に位置する総統府。その総統室で、キスレブ総統ジークムントがアヴェ国境
付近での戦闘に関する報告を聞いていた。報告によると、以前強奪されたヴェルトールを戦闘地域で発見、
パイロットともども確保したと言う。
さらに、訪問客があると聞いたジークムントは、ドックへと赴いた。ドックには、ツボのような形の戦艦が
入渠しており、その戦艦から、厳重に梱包された荷物が降ろされていた。
戦艦から降りてきた覆面の女はジークムントに、アレがあれば障壁を越えられると言い、それを渡す見返り
として、ヴェルトールとフェイをD区画に移す事を頼み、戦艦と共に去っていった。フェイは夢を見ていた。幼い自分が母親とキャッチボールをしている場面が、繰り返し繰り返し流れている。
それが大きなスクリーンに映し出されたものだと気が付いたとき、スクリーンの前に立つ彼の前に、画面を
食い入るように見つめる幼い自分が現れた。困惑フェイに、もう一人の幼い自分が声をかけた。
「ここはお前のくる所じゃない……」帝都犯罪者収容区画、通称D区画。その囚人宿舎の医務室で、フェイは目覚めた。
そばにいた女医のディアナから事情を聞かされていたフェイの下に、四人の男達が現れて彼を連れ出した。
彼らは、D区での序列を決めるための『洗礼の儀式』をするため、フェイを、D区でキングと呼ばれている
亜人のリコの下に連れて行った。
その儀式で、リコ配下の四人、レオナルド、ハインリヒ、バルガス、スザーンと戦って勝ったフェイだったが、
リコにはまったく歯が立たず負けてしまう。再び医務室で目を覚ましたフェイはディアナから、儀式の結果ランクAになった事、囚人の首につけられる
首輪爆弾のせいで脱獄は不可能な事、困ったときは調達屋のハマーを訪ねるといい事を聞かされる。
ラハンを出て以来不可解な事が続いた上にいつの間にか監獄に入れられ脱出=即死な状況に置かれたフェイは、
なんかもうどうでもいいやと半ヤケになりながら、差し当たってやることも無いのでハマーに会いに行く事に。酒場で会った底抜けに明るい亜人のハマーにフェイが兄貴とか持ち上げられていると、バトリング管理委員会
の人間がやってきて、フェイにバトリング(註1)への参加を要請した。
本来は自らギアを用意せねばならない所を特別に委員会が用意するなどと言って、彼らはフェイを説得
しようとするが、ギアを嫌っているフェイは頑として首を縦には振らなかった。
委員会が去り、宿舎に戻ろうとするフェイに、今度はハマーがまとわり付く。うるさくバトリングへの出場を
促す彼をいなしながら宿舎に戻ったフェイは、そこでシタンと再会する。
シタンはキスレブの無線を傍受していてヴェルトールが回収されたのを知り、追ってきたのだった。
彼からユグドラシルの沈没と国境艦隊の壊滅を知らされたフェイは、ラハンの時と同じように、また自分が
やってしまったのではないかと気に病んだ。
シタンに励まされ、マルーを守ると言うバルトとの約束を果たすべくキスレブ脱出を決意する。
差し当たって首輪爆弾を外そうと考えた彼は、シタンに分解を頼むが、危うく失敗しそうになり断念する。
そんな二人を見ていたハマーは、首輪爆弾を外すもう一つの方法を教えた。
それは、ジークムントが観戦するバトリングの御前試合で優勝する事。そうすれば、特赦されると言うのだ。
しかし、優勝するためには現在三連覇中のリコに勝たねばならないため、不可能に近いと言う。
それでもフェイは、約束を果たすためにバトリングに参加することを決意するのだった。註1・・・ギア対ギア、もしくは対モンスターと言ったカードで行われる娯楽競技。
◆目指せ、バトリングの勇者
巨大な球体に埋め込まれたスクリーンに映ったガゼルの法院が議論している。
「予想より早かったな……触れえざる者の目覚め……」
「あれから三年。メモリーキューブの情報に拠れば、今はノアトゥンだ」
「500年前、ヤツさえ現れなければ、ラムズを"アニムス"とすることも無かった」
「各エリアでの"アニマの器"の発掘は順調だ。ゲートキーパーの起動、もっけの幸いだったな……」
「イグニスの均衡、破るわけにはいかん。それにあれは不浄の地だ。カインも異存はあるまい」
「粛清だ。だが、第三艦隊の兵力で足りるか?"ゲーティアの小鍵"は来るべき時まで使えん」
「あそこには旧文明の原子炉がある。あそこにはもう得るべきものもない。直撃ならば……」
「では、裁決を下そう……」ノアトゥン。バトリング出場を決めたフェイは、恩赦目当てでマネージャー兼メカマンを買って出たハマーに
出場登録をしてもらい、早速参戦するためにシタン、ハマーと共に闘技場へ向かった。
闘技場で委員会に迎えられたフェイは、用意されたギアに登場するため、パドックへ向かった。そこには
あのヴェルトールがあった。
驚くフェイにシタンは、キスレブの軍事プランの一環としてバトリングのデータが収集されている事から、
フェイとヴェルトールのデータを取ろうとしているのではないかとの推測を語った。
キスレブの思惑はどうあれ、乗りなれたヴェルトールでフェイは緒戦に挑んだ。
緒戦の相手は、フェイと洗礼の儀式で戦ったリコ配下のレオナルド。フェイは試合を有利に進めたが、後一歩
の所で機体に異変が。レオナルドがヴェルトールに爆弾を仕掛けていたのだ。その爆発によってヴェルトールは
戦闘不能に陥ってしまった。その夜、D区画の地下下水道に、レオナルドとハインリヒの姿があった。この地下下水道はモンスターが
住み着いており、そのモンスター退治が囚人達の最大の収入源なのだ。
突然、ハインリヒの悲鳴が響き渡った。彼の元へ駆けつけようとしたレオナルドに何かが襲い掛かる。翌朝、医務室で目覚めたフェイは、心配するシタンに嫌な夢を見たと語った。
いぶかるシタンに手を振り、彼は闘技場へ向かった。彼は昨日の緒戦で既に負けてしまっていたが、本選
出場権を持っていたレオナルドとハインリヒが棄権したため、フェイは繰り上げ進出となったのだ。
その後、フェイは二日目、三日目と順調に勝ち進んで行った。◆地下水道の悪夢 闇にはうもの
三日目の試合が終わり、フェイが宿舎に帰ると、そこにリコが待っていた。
彼は、地下下水道で起きている連続殺人事件について調べていると言う。地下下水道で殺されたのは、
リコ配下のあの四人を含む五人。リコはその事から、洗礼の儀式や緒戦の爆弾事件をうらんだフェイが、
モンスターの仕業と見せかけて殺したのではないかと考えたのだ。
これから下水道に調査に行くというリコに、フェイは潔白を証明するために付いていく事にした。
シタンも加えて現場に赴いた三人は、そこで不可解なゲル状の物質と「赤い化け物」というダイイング
メッセージを発見。何者かの鈴の音に緊張しつつ、下水処理施設に向かった彼らは、そこで鈴を発見する。
その鈴が化け物の持ち物だと推測した三人は、鈴を鳴らして化け物をおびき出した。
灼熱の雨を降らせる化け物と戦った三人は、激しい戦闘の末これを打ち倒した。
リコ「こいつは一体なんなんだ……。なんで鈴なんか……」
シタン「人並みの知能があったようですね。……いや、残っていた、と言うべきですか……」
とにもかくにも、事件は解決した。しかし、この戦闘でリコは腕に怪我を負ってしまっていた。
それを心配するフェイだったが、リコは手加減など無用と言い放って去っていった。その頃、ゲブラーのブリーフィングルームで、エリィ以下特殊部隊の面々が上官から任務の説明を受けていた。
大質量爆弾での飽和爆撃。その旗艦の護衛だった。ブリーフィングの後、エリィは作戦に難色を示した。
ランク「粛清だろ? ラムズの」
エリィ「彼らだって私達と同じ人間なのよ。それを一方的に粛清なんて……」
ランク「あんたみたいな一級市民がそんな考えを持っているとはね、意外だよ」◆倒せ、無敵のバトラーキング
殺人事件を解決した後も、フェイはバトリングで順調に勝ち上がっていた。
そして、リコとの決戦前夜。シタンとハマーを伴って、フェイはヴェルトールのメンテナンスをしていた。
しかし、委員会からパーツの供給を受けているリコのシューティアとの性能差は歴然としていた。
もっといいパーツはないのかと焦るフェイの前に、突然ワイズマンが現れ、そして戦いを挑んできた。
相変わらずワイズマンに手も足も出ないフェイ。やがて武技雷迅を叩き込まれてしまう。
ワイズマンは倒れたフェイに、能力差を埋めるためには隙を突く事が重要だと教えた。
去ろうとする彼を呼びとめ、フェイはなぜ自分を知っているのか聞こうとした。記憶を失っている事をつげ、
少しでも情報が欲しいと訴えるフェイに、ワイズマンは語り始めた。
ワイズマンとフェイの父、ウォン・カーンが同門の徒である事、共にカレンと言う名の女性に恋をし、
カーンが彼女を娶りフェイを生んだ事、その後修行の旅に出たワイズマンの下にカーンから、グラーフという
男がフェイをさらったと手紙を受け取った事、そして三年前、フェイを探していたワイズマンは、カーンから
息子の居場所を突き止めたと知らせを受け、急行したその場所で大怪我をしたカーンとフェイを見つけた事、
その後、カーンはグラーフを追って旅立ち、ワイズマンもフェイをラハンに預けてカーンを追った事。
最後に彼は、カーンが武官をしていたのが空に浮かぶシェバトだと告げ、姿を消した。
ワイズマンが去った後、フェイは彼の教えから一縷の勝機を見出した。翌日、ついにリコとの決戦。フェイは力で押してくるリコに対し、ヒットアンドアウェイで翻弄、途中
幾度か押し切られそうになるも、リコの姿勢が乱れた一瞬の隙を突き、見事勝利を収めた。
決勝の直後、敗れたリコは、ある覚悟を持って団体戦に向かった。その頃、アヴェ国内ゲブラー基地では、エリィたちが、出撃のために格納庫に来ていた。
格納庫から見えるドックには、8艦の爆撃艦が待機していたが、その内コントロール艦はわずか1艦。その他は
全てエーテル誘導による艦だった。
彼らがその編成に驚いていると、そこへラムサス直属の精鋭部隊エレメンツの一員ドミニアがあらわれた。
ユーゲント時代彼女と同期だったエリィは、彼女にこの作戦の目標を尋ねた。
エリィにコンプレックスをもつドミニアは切り口上で、元来ラムズを隔離するために設置したゲートを越える
事ができるゲートキーパーをキスレブが入手したための粛清として、原子炉を爆破する事を伝えた。
無差別に人々を殺す事になる子の作戦を非道と非難するエリィに、ドミニアはいらだちを隠さなかった。
ドミニア「気でも違ったか。過ぎた知識は家畜には不要なのだ。ラムズは我々が管理せねばならん」
エリィ「あなたももとは地上の人間でしょう?それなのに……」
ドミニア「私はラムサス閣下に選ばれた人間だ! ユーゲント時代、せっかくの素養がありながらその責任を
放棄して逃げ出した貴様に言われる筋合いはない!」◆侵入ギアドック 地に落ちた英雄
D区画。バトリングで優勝したフェイは、キングの称号とランクSの特権を与えられ、首輪も取れた。
彼は委員会に案内されてキングに与えられる部屋に入ると、リコの消息を尋ねた。
リコはフェイとの試合の後に行われた団体戦で総統の観覧席に突入、行方不明との事だった。
委員会は、ジークムントがフェイに会いたがっている旨を伝え、去っていった。
リコの消息を心配しながらも、とりあえず行動を起す事にしたフェイたちは、まずヴェルトールを回収する
べく、ハマーに情報収集を頼み、その間にジークムントに会いに行ってみることにした。キスレブ総統府。門番の兵士達に案内され、フェイとシタンは総統府の中に入っていった。その、門番が
いなくなった一瞬の隙をついて、リコが総統府へ侵入した。
そうとは知らないフェイたちは兵士に案内されて、作戦司令室や艦橋など各所を見て回った後、総統室へ。
そこで総統とフェイが話を始めた直後、天井からリコが落ちてきた。彼は慌てて部屋を逃げ出し、今は住む
ものも無く、遺伝子ロックで閉ざされたままの総統の妻の部屋に逃げ込んだ。
部屋に残された残り香が、リコの記憶を呼び起こした。
普通の人間となんら代わりのない、幼い頃のリコと母親。病弱な母親は幼いリコに、離れて暮らす立派な
父親の話をしていた。時が経ち、二人の生活は次第に変化していった。リコの爪と耳が長く伸び始め、リコと
母親は周囲の人間から亜人の親子と非難され始めた。やがて母親は寝たきりになってしまい、そしてリコは
一人、亜人として生きていかなくてはならなくなった。
本人ですら忘れていたその記憶。それを呼び起こしたこの部屋の匂いに困惑しながら、彼は鏡台に置かれて
いたペンダントを手に取った。
その時、フェイたちが扉を叩いた。彼らと共に部屋を出たリコは、そこに現れた総統の兵士によって捕らえられた。どうする事も出来ずに総統府を後にしたフェイとシタンは、ハマーからの情報で、ヴェルトールがD区エリアの
地下ドックに移送された事を知った。そこへの侵入ルートは闘技場内と輸送列車トンネルの二つ。闘技場内
からの侵入は不可能と判断したフェイは、残る輸送列車の通過時間の調査をハマーに依頼し、D区に戻った。キングの部屋に戻ると、リコ配下の者達が待っていた。彼らは、リコを助けて欲しいと言う。
リコは今夜、総統ジークムント暗殺未遂の罪で、闘技場で公開処刑に処されるというのだ。
事情はこうだ。そもそも、バトリング管理委員会は『協会』の人間で構成され、以前は政府の一大勢力だった。
しかし、ジークムントによりそのほとんどが放逐され、バトリングすらも自らも管理しようとする総統が邪魔
になった。そこで委員会は一計を案じた。ジークムントの推進した亜人排斥運動により虐げられたリコを利用
し、総統を事故に見せかけて暗殺しようとした。しかし、それも失敗してしまった。
リコを真のキングと仰いでいた彼らは、委員会に操られたリコを何とか助けたいと語った。
フェイは、戻ってきたハマーから今夜輸送列車が通ると聞き、ヴェルトール奪回の後、そのまま闘技場へ侵入、
リコを救出するという作戦を立てた。夜。作戦決行の時。準備を終え、仮眠を取ったフェイとシタンは、輸送列車に忍び込んだ。列車がトンネルに
入ったところで列車から通風孔へ飛び移り、迷路のような通風孔を通ってギアドックへ。無事ヴェルトールを
回収し、闘技場に向かった。◆粛清! 暗夜に舞う死の影は
闘技場。生身のリコに、地竜が襲いかかろうとしていた。間一髪、飛来したヴェルトールに撃破される地竜。
フェイ「俺は帝都を脱出する。あんたはどうするんだ? やり残した事があるはずだろ」
リコ「黙れ! 二度もこの俺の…。行くならさっさと行け。俺はたとえここで死んだとしても帝都は離れん」
その時、帝都に空襲警報が鳴り響いた。ゲブラーの爆撃艦が上空に達したのだ。
艦の行方を見ていたシタンは、一艦が原子炉への直撃コースを取っているのに気づいた。それを聞いた
フェイは、艦の針路を帰るために向かって行った。一方、シタンはハマーを伴って市民を避難させ始める。
爆撃によって方々から火の手が上がる町を見ながら、リコはフェイの言葉を思い出していた。
リコ「俺の町……? クソッタレの町……。俺も……クソッタレだ……な」艦隊護衛の特殊部隊のランクたちは、飛来するヴェルトールに気づき、エリィの制止も聞かず迎撃に出た。
ランク「スマンな隊長。だが、俺達は武人として、ヤツと決着をつけたいのだ」
一斉に掛かってくる彼らに苦戦するフェイに、突如飛来したシューティアが加勢した。
リコ「気に食わねぇ奴らをぶっ飛ばすのに理由はいらねぇ。お前も含めてな」
フェイ「……それも一つの理由だ」
リコの助けをえてランクたちを撃破したフェイの前に、エリィが立ちはだかった。
その事に驚きながらも、フェイはリコを先行させ、彼女と対峙した。
フェイ「軍を抜けろと言ったのに、どうして……」
エリィ「できるならとっくにやってるわ! でも変えられないの。貴方のように自由に自分の道を選べない。
これが私の居場所……お願い、解って」
フェイ「俺も…居場所は無いよ。バルトたちは艦ごと行方不明になってしまった。俺に居場所はもう無いんだ」
エリィ「そんな……じゃあ、なんの為に戦ってるの……?」
フェイ「お前は戦うのがそんなに好きなのか? 人が死ぬのを見るのがそんなに好きか!?」
エリィ「バカな事言わないで! 好きなわけないじゃない」
フェイ「だったら来い!」
ギアからエリィを降ろし、高台に連れて行くフェイ。町は今にも火の海に飲み込まれんとしている。
フェイ「似合わない事するなよ。無理して居場所作らなくてもいいじゃないか。
俺が何のために戦っているのか、自分でもよく分からない。けど、戦う事が自分や、自分を必要と
してくれる人に少しでもプラスになるなら、なにもしないでいるより遥かにいい。それだけさ。
今、先生もハマーも、必死で住民を避難させてる。リコはこの町を憎んでいるはずなのに協力して
くれている。だから、俺は行くよ……」
そう言って、フェイはリコの後を追った。残されたエリィは、燃え盛る町を見つめ続けた。艦隊のコントロール艦ヘヒト。そのコントロールユニットを操るドミニアに挑みかかっていたリコは、
追いついたフェイと共に、ドミニアのエアッドに手を焼きながらもこれを撃破、艦首に回り込んだ。
艦の針路を変えようと最大出力で艦首を押す二人だったが、あまりの質量に思うように針路が変わらない。
そこへ、エリィのヴィエルジェが加勢。三機が力をあわせ、原子炉直撃コースからは外れた。さらに被害の
少ない針路に変更しようとする三機だったが、シューティア、ヴェルトールが相次いでオーバーヒート。
フェイの止めるのも聞かず一人残ってギリギリまで艦首に取り付いていたエリィだったが、ヴィエルジェの
エネルギーが尽き、退避することも出来ずに墜落してしまう。
ヘヒトの墜落と共に大質量爆弾が爆発した。その爆風にヴィエルジェが巻き込まれようとしたその時、彼方
からグラーフのギアが凄まじい速さで飛来し、ヴィエルジェを庇った。爆風が収まり、エリィの無事を確認
すると、彼は何も言わずに飛び去った。エリィは、彼に誰かの面影を見ていた。◆キスレブ脱出 秘密兵器を奪え!
空襲の混乱がひと段落ついた頃、フェイ、シタン、エリィの三人は、ハマーが掴んできたキスレブを脱出
する為の情報を聞いていた。キスレブの新造空中戦艦ゴリアテ。単独でブレイダブリクを壊滅させられる
ほどの巨大戦艦が、キスレブの北の山脈の地下にあると言うのだ。そこは、以前エリィがヴェルトール強奪の
ために潜入した基地だった。一行は、キスレブが報復として出撃させる前にこの戦艦を奪って脱出する事に。
早速帝都を出ようとした彼らだったが、警備兵に呼び止められてしまう。フェイは指名手配されていたのだ。
逃げるか戦うか彼が迷っていると、リコが嵐のように現れ、警備兵を叩きのめしてしまった。
リコは、自分もキスレブを脱出するため、手を貸すという。心強い味方を得て、彼らは北へ向かった。ゴリアテ工場。基地に入った彼らは、警備のギアを撃破しつつ、エリィの案内で進んでいった。
最深部でゴリアテを守るギア「への6号」を撃破した彼らは、首尾よくゴリアテに乗り込み、離陸した。◆脱出イグニス めざせ新天地
シタンの操縦で海上を行くゴリアテの前に、突如グラーフのギアが立ちはだかった。
フェイ、エリィ、リコが迎撃に出るも、生身のグラーフにヴェルトール、シューティアが撃破されてしまう。
しかし、グラーフが攻撃しないヴィエルジェが隙を作り、シタンの機転によってグラーフ機は撃墜された。
なぜ自分を攻撃しなかったのか。エリィの疑問を乗せて、ゴリアテは海上を飛び続けた。そのゴリアテを狙っている目があった。潜水艦ユグドラシル。その発令所で、バルトはゴリアテを見ていた。
キスレブが報復に打って出たと考えた彼は、撃墜すべく、ゴリアテに向け巡航ミサイルを発射した。
ミサイルは見事命中。そして、制御不能に陥ったゴリアテはユグドラシル目掛けて墜落、見事命中。
大爆発を起した。ゴリアテには、ゲートキーパーが装備されていた。ソラリス側にしかないはずのその機械は、その作動時、
時空震という揺れを発生させる。
ブレイダブリクのラムサスは、自らの空中戦艦内で、先に発生した時空震について調査させていた。その
結果、ゴリアテがその震源である事を突き止め、彼はキスレブの粛清が失敗した事を確信した。
そのラムサスの下に、突如グラーフが現れた。彼は、ゴリアテに乗っていたフェイが、転移によりアクヴィに
いると伝え、去った。それを聞いたラムサスは、目の色を変え、アクヴィへ針路を取った。
その直後、グラーフはミァンと会っていた。小細工は無用と言うグラーフにミァンは、
ミァン「結果的に枷が外れやすくなったのだから、いいじゃない。それに、"器"は定められた者にしか反応
しない。これはあの子達も知らない事なの。でも、カール(ラムサス)に彼は必要ね。カールの存在
意義そのものだから。それよりお礼しなくちゃ。助けてくれたんでしょ? 私の為? 彼の為?
それとも、自分自身の為かしら……?」
アクヴィへ向かうラムサス艦に、ドミニアが回収され、先んじてアクヴィへ向かったと報告が入った。ゴリアテ墜落の場面をスクリーンで見ながら、ガゼルの法院が議論している。
「メモリーキューブの情報だと、"奴"の周囲にはM計画対象者<スファラディー>ではなく、"アニムス"の因子
を持つ者たちが集まっているらしい。……"奴"に引き寄せられたか? 図らずも500年前と同じだな」
「転送先はアクヴィ。カレルレンが直々に向かうらしい。ゼボイムの遺産が見つかったのだそうだ」
「遺産……ということは、以前ヤツが話していた技術か?」
そこへ、天帝カインが加わった。
カイン「そうだ。ナノテクノロジー創生の地、ゼボイムの首都が海底下に眠っていたのだ。19年もの間、その
存在は『教会』によって隠されていたがな。ところで、お前達……"消すつもり"であったのか?」
「なに、偶然だよ。それにあの程度で消せるとは思っておらん。粛清も失敗に終わった。今後は無い。
"アニムス"が集まっているのならなおさらな」
「しかし、なぜそこまで"奴"にこだわる。"アーネンエルベ"……未だに信じているわけではあるまい」
「あれは幻想だよ。理想ですらない。結果はこの姿。見ての通りだ」
「カイン、我等が"神"なのだ……」
アクヴィ編
目次(漂流~ビリー加入 本部襲撃~ストーン撃破)◆漂流 星空の海にただよえば
ゴリアテが撃墜された後、シタン、リコ、ハマーは潜水艦ユグドラシルに収容された。
撃墜から意識を失い、ユグドラの船室で目覚めたリコは、バルトがミサイルを撃ったこととは知らず、
シタンに促されて礼を言いに行ったが、そこで事実をしるや、バルトをボコ殴りしたのだった。一方その頃、フェイとエリィはゴリアテの残骸に乗って海を漂流していた。その残骸の下には、ヴェルトール
とヴィエルジェがあったが、隔壁に隔てられ、動かすことは出来なかった。当面の食料を確保しようと、魚を
追い掛け回していたフェイは、アヴェの砂漠で見た空飛ぶ円盤を再び目撃した。エリィによると、それが
シェバトだという。砂漠に現れたのは、特別な目的があったのだろうと。ユグドラシル。ゴリアテ撃墜の件を謝るため、バルトはまずシタンに会いに行った。そこで彼は、この艦が
元々はシェバトの技術によって造られたものであろうと聞かされた。その後、ギアハンガーのリコに会いに
行くと、リコはブリガンディアとヘイムダルの性能に感じ入っており、今後も行動を共にすると言った。夜。漂流しているフェイとエリィは、星空を見上げながら語り合っていた。
フェイ「俺はダメな奴さ。誰かに必要とされるために今まで行動していた気がする。そうやって癒されている
自分がいるんだ。確かにそれはゼロじゃない。けど、1でもないんだよ」
エリィ「私、なぜ自分が今ここにいるか考えてみたの。それは多分フェイが、何もしないでいるより何かして
いる方が良いって言ったから。1じゃなくても良いじゃない。たとえそれがごくわずかでも、何度も
繰り返せば1になるでしょ。
…そんなに思いつめる事ないと思う。誰でもそうやって、見返りを求めて何かを分け与えてるのよ。
私だってそう。さっきの非常食、おいしくないのに無理して食べてくれたんでしょ? 自分だけ
生き残ろうと思ったら、独り占めした方がいいのに。でも、無理して食べてくれるのを見て、分けて
あげてよかったなぁって、癒されたもの。
それは独善的なものだけど、そうやって分け与える喜びを学んでいけば、いつか自分の大切なものも
分け与える事が出来るようになると思うの……」
そう語りながら、エリィは以前もフェイに同じように言ったようなデジャヴを感じていた。◆大海原のタムズ、海の男の心意気/再会 昨日の友は今日の……
翌朝、フェイとエリィは、海上都市タムズに遭遇、救助された。
タムズの副長であると言うハンスの出迎えを受けた二人は、ヴェルトールとヴィエルジェを修理に回したと、
聞き、救助の事とあわせて礼を言うため、タムズを見学しながら艦長に会いに行った。
大海を回遊しながら海中資源のサルベージを生業としているタムズは、さながら巨大な洋上艦といった
ところで、広い甲板では、住民によって市場も開かれているほどであった。
この艦長と言うのがまた実に豪放磊落な男で、ガッハガッハと笑いながら、歓迎の宴まで開いてくれると言う。
そのあまりの親切さに警戒するフェイから理由を尋ねられても、
艦長「それはな…… 俺が! 海の! 男だからだ!!(バァァァァァーン!!)」
という一言で済ませてしまうほどであった。
その艦長に案内されてビアホールに向かったフェイたちは、料理を食べながらこの艦について聞いていた。
海底のお宝は、最近では少なくなったものの、代わりに『教会』からの大仕事が入ったと艦長は語った。その頃、エレメンツのケルビナが操縦する水中用ギア、ハイシャオに収容されたドミニアは、ゴリアテ捜索中、
ユグドラシルを発見。その時点の指揮官であるケルビナを説得し、ユグドラシルの撃沈に向かった。
その戦闘で起こった振動と水柱は、遠くタムズまで届き、それを確認したフェイはユグドラシルが戦闘に
巻き込まれている事を知るや、修理が終わったばかりのヴェルトールで出撃し、エリィもこれに続いた。
ユグドラシル甲板でシタンらと再会したフェイとエリィは、迎撃に出たバルトの加勢に海中へもぐった。
ドミニアは、フェイと現れたエリィを見て逆賊と断じ、襲い掛かった。だが、ユグドラシルの爆雷を受けて
ハイシャオはダメージを負い、ケルビナは撤退を決めた。しかし、諦めきれないドミニアは、ヴィエルジェを
確保し、エリィを連れ去ってしまった。◆敵の手に落ちて 裏切りの代償/ねらわれた艦 ラムサス急襲!
ソラリス製の、しかも水中用のギアに追いつけるはずも無く、フェイは追撃をあきらめざるを得なかった。
ユグドラシルに戻ったフェイは、被弾したユグドラの寄港先としてタムズに向かうように言った。
タムズに向かう間、彼はバルトからこれまでの話を聞いた。
真っ赤なギアにやられて砂の海に沈没したユグドラシル。しかし、沈没した地下には巨大な空洞があり、
そこにユグドラそっくりの潜水艦が眠っていたという、嘘のようなホントの話。その後、ユグドラから使える
所を移植したユグドラII世で、バルトは真っ先にニサンへ向かい、マルーを連れてきたのだという。
そんな話をしているうちにユグドラはタムズへ到着。早速艦長に会いに行ったバルトは、案の定艦長と意気投合。
ビアホールに招かれたのだった。その頃、ラムサス艦に収容されたエリィがドミニアに激しく叱責されていた。ひるまず反論するエリィに、
ドミニアはついに剣を抜いた。そこへミァンが現れ、エリィを庇った。エリィを連れて行こうとするミァンに
詰め寄ったドミニアだったが、ミァンの眼力に気おされ、口を閉ざしてしまった。
ラムサス艦居住区の一室で事情の説明を受けたミァンは、他課員への示しのため、暫く謹慎しているように
言い、エリィの目を見つめた。ミァンの目が奇妙な光を発した。タムズ。ビアホールで飲んだくれていたバルトたちに、エリィ帰還の報が伝えられた。彼女はフェイたちに
迎えられると、疲れていると言って一足先にユグドラシルに乗り込んだ。一人になった彼女は、ふらふらと
機関室へ向かい、スレイブジェネレーターのコントロールパネルを操作して機関を暴走させ、倒れこんだ。
突然の事に技師やフェイらが困惑する中、ひとり落ち着き払ったシタンが機関の暴走を止めた。彼によると、
エリィは強力な催眠術に操られていたとの事だった。
ともかくエリィを医務室へ運んだものの、機関は大ダメージを受け、修理に時間を要するとの事だった。
医務室で彼女が目を覚ますと、事情を聞く暇も無く、発令所より敵機の接近が伝えられた。
エリィは自らの潔白を証明するため、バルト、フェイと共に迎撃に出た。
まず襲ってきたのは、ドミニアの専用ギア、ブレードガッシュだった。エーテル剣で激しい攻撃を仕掛ける
ブレードガッシュを何とか退けると、水中から爆撃があった。即座に水中へもぐった彼女らは、ハイシャオ
を操るラムサスと対峙した。
ラムサスの狙いはフェイただ一人。ハイシャオの集中攻撃を受けたヴェルトールの装甲は破損、コックピットに
海水が浸入し、フェイは意識を失ってしまう。ラムサスが止めを差そうとしたその時、エリィがエアッドを
起動、間一髪のところでラムサスを退けた。◆少年司祭 我らがために祈り給え
タムズの医務室。意識不明のままのフェイの傍らで、エリィは責任を感じて落ち込んでいた。その姿を見かねた
タムズの医師は、『教会』本部の医局ならば、治療の手立てがあるかも知れないと言い、現在タムズに来ている
教会のエトーン<罪をあがなう者>(註1)に話してみれば、もしかすると紹介してもらえるかもしれないと教えた。
早速そのエトーンを探しに向かったエリィは、甲板広場でちょっとしたトラブルに出くわした。銀髪の少女が
悪漢にかどわかされようとしていたのだ。それを助けるエリィ。しかし、そこに現れた少女の父親は、エリィが
ソラリスの軍服を着ているのを見て、彼女に銃口を向けた。
そこへ、シタンが仲裁に入った。少女の父親はジェサイアと言い、ユーゲント時代のシタンの先輩だったのだ。
ジェサイア、通称ジェシーは、非礼を詫び、口の利けない娘のプリメーラに代わって礼を言った。
シタンとジェシーが互いの近況を語っていると、タムズの医師がエトーンを連れてやってきた。そのエトーンは
ジェシーの息子のビリーと言う少年だった。ジェシーは『教会』からはテロリストと目されており、ビリー
とはそれも含めて確執があって、この時も口論になりかけた。しかし、妹が助けられた事を知ると、ビリーは
エリィに礼を言い、フェイを『教会』の医局へ紹介する事を約束した。註1・・・アクヴィに出没する死霊<ウェルス>(註2)を浄化する役目を持った聖職者。武器、ギアの扱いに長ける。
註2・・・人以上の知能を持つものもいる、謎の生物。◆安らぎ 海流のなかの孤児たちと
『教会』本部。荘厳な礼拝堂とは打って変わって近代的な施設に、医局はあった。そこでフェイを診察した
医師は、単に疲労がたまった為の昏睡であり、時間が経てばめを覚ますだろうと診断した。
安心したエリィたちは、フェイをユグドラシルに移し、ビリーに礼を言うため、孤島の孤児院へ向かった。孤児院。そこでは、ビリーが身寄りのない子供達と共に暮らしていた。
そこでビリーに会い、エリィたちが礼を言っていると、シグルドが追ってきて巨大な艦影を補足したと報せた。
すわゲブラーかとユグドラに彼らが戻ろうとした所にジェシーが現れ、シグルドを見止めるや、声をかけた。
シグルドはユーゲント時代、ジェシーの家に下宿しており、ビリーとも旧知の間柄であったのだ。
久々の再会に喜んだジェシーは、シタンとシグルドを(半ば強引に)連れ、ユグドラのバーに飲みに行った。
あっけに取られていたエリィたちがわれに帰り、ユグドラに戻ろうと孤児院を出ると、そこにビリーの上司
であるストーン司教が現れた。
司教によると、以前から行方がわからなくなっていた教会の輸送船が発見されたのだが、通信で呼びかけても
応答が無く、ウェルスに襲われ占領されている恐れがあると言う。その調査をビリーに頼みに来たのだ。
フェイの事もあって、エリィたちはその仕事の手伝いを申し出、早速出発するためにユグドラに戻った。
しかし、ユグドラではジェシーが飲んだくれており、それに付き合って飲めない酒を飲まされていたシグルドが
ダウン。結局出発は明日になった。その夜。孤児院に戻ったジェシーはビリーと口論になった。『教会』を否定し、仕事を辞めろと言うジェシーに、
ビリー「僕の生き方に口をはさまないでくれ。僕はまだ貴方を父親だと信じているわけじゃない」
そう言って話を切り上げた。◆波よ聞け、死霊のわらう船
翌朝。ユグドラに乗艦したビリーは、エリィにエトーンとなった理由を聞かれ、自分の身の上を語り始めた。
ビリーがまだ小さかった頃、ジェシーが突然蒸発、母ラケルとプリメーラ、ビリーの三人で暮らす事になった。
彼が12歳の時、家が死霊に襲われた。死霊はラケルにジェシーの居場所を聞いたが、ラケルは口を割らず、
殺された。ビリーたちは間一髪の所でストーン司教に助けられたが、プリメーラはその時から喋らなくなったの
だという。
その後、ビリーはストーン司教に憧れ、『教会』に入ってエトーンの修行を積んだ。何年かして家に戻った
ビリーとプリメーラの元に、ジェシーが現れた。しかし、人相が変わっており、今でも本当の父親か信じられ
ないという。だが、プリメーラは懐いていて父親が必要だし、ビリーも心の底では父親であって欲しいと思って
いるのだ。ビリーの話が終わった頃、ユグドラシルは輸送船を発見、接近した。
輸送船は予想通り死霊に占領されていた。襲い掛かる死霊を掃討しつつ、船内を進んだビリーたちは、艦橋で
最後の死霊を倒した。その死霊が巨大ウェルスを呼んだ事を知ったビリーは、艦橋の通信設備で孤児院に連絡。
孤児院では子供達が協力してビリーのギア、レンマーツォをオートパイロットに設定、発進させた。
間一髪、巨大ウェルスの襲撃に間に合ったレンマーツォに乗り込み、ビリーはこれを撃破した。◆信仰 炎の海で焼かれよ、我が魂
輸送船を後にした一行は、報告の為、『教会』本部へと戻った。
一歩建物に入った途端、彼らは異変に気づいた。何者かが『教会』関係者を虐殺していたのだ。
粛清!と叫びながら襲い掛かる侵入者を排除しながら施設を回ると、教皇すらも殺されていた。
「神の裁きが下される…」と言う教皇の最後の言葉に困惑しながらも、ビリーたちは奥へ向かった。
途中で監禁され衰弱していたシェバトの工作員を助けつつ、地下に進んだ彼らは、大聖堂の真下に位置する
施設を発見した。そこはソラリス製の最新設備が整っており、データベースからは以下の情報が得られた。
教皇であるシャーカーンから定期的に連絡が入っている事、教会が資源をソラリスに送っていた事。
さらに暗号化されたデータから、衝撃的な事実が判明する。
500年前に起こったソラリスと地上との戦争後、地上人が再び造反する事を恐れたソラリスは『ゲート』と
呼ばれる障壁を開発。その障壁に囲まれた地域に、地上人を種族別に住まわせ、それを管理する組織として
『教会』を設立。『教会』はその後、資源や人材などをソラリスへ送る窓口にもなった。
また、近年『教会』が独自に進める計画があった事もわかった。『第44次サルベージ計画』。タムズの艦長
が言っていた「大仕事」だった。アクヴィの地下にあるゼボイムの遺跡の発掘。そこからは、生物兵器や
反応兵器などが見つかっている。シタンは、これらの情報から、『教会』がソラリスから独立し、世界支配を
画策していたのではないかと推測した。自分の信じる『教会』がソラリスの下部組織であり、救済を求めてきた人々がソラリスに送り込まれている事を
知って、愕然としながら部屋を出たビリーを、親友のベルレーヌとその従者が待ち構えていた。
ビリーに銃口を向けるベルレーヌ。そこへジェシーが現れ、ベルレーヌがソラリスの工作員で、ストーン司教
配下の暗殺部隊だと暴いた。
ベルレーヌは不気味に笑いながら「穢れた者を浄化したのさ、司教の指示でね」
ビリー「僕たちには勝手に人を裁く権利はない! 審判は神が下されるものだ!」
ベルレーヌ「神だって?そんなものどこにいるんだい? 君の信じた『教会』は、ソラリスが地上の情勢を
操作するために作られた組織だ。操作された衆愚は戦争を繰り返した。そうした戦争の心理的軋轢を
解消するための信仰と救済。そういう『システム』だったんだ。神なんて"最初からいなかった"のさ。
それに君だって断罪を下していたんだよ。君が日ごろその手にかけていた……グハッ!」
銃声がして、ベルレーヌが倒れた。ビリーが後ろを振り返ると、そこにストーン司教がいた。
司教を問い詰めるビリー。
司教「私はソラリスの粛清官。私の創った組織エトーンは、表向きはウェルスの浄化、しかし実際は有能な
人材を選別し、『教会』内の不穏分子の監視と処分を実行していたのです。それと、君が魂の救済と
信じて行っているウェルスの浄化……それは……」
さらに喋り続けようとする司教をジェシーが遮った。
ジェシー「そこまでだ、スタイン。答えろ、なぜ"こんなまだるっこしいやり方"をする?」
司教「これは"生き甲斐"なのだ。今ここで貴様のハラワタを引きずり出したい衝動に駆られるが、暇がない」
そう言うと、司教はビリーたちに従者をけしかけて立ち去った。
ビリーたちは従者を倒して司教を追ったが、司教は巨大な機動ギア、アルカンシェルで逃げ出してしまった。アルカンシェルが向かった先にタムズがあると知ったバルトたちは、いち早くユグドラシルに戻り、追撃した。
その頃、タムズは他の船と隊列を組み、発掘現場へと向かっていた。そのタムズの上空に、突然、キスレブに
現れたツボのような形の戦艦が出現し、ビーム砲を斉射した。それによってタムズ艦隊はほぼ壊滅した。
戦艦の指揮官は、カレルレンと言う男だった。彼は部下にウェルスの射出を下命した。ウェルスに襲われ、
防戦に追われるタムズを尻目に、カレルレン艦は発掘現場へと向かっていった。◆古の声がいざなう 海底遺跡へ
ユグドラシルがタムズに到着した頃には、既にウェルスは掃討され、救難活動が始まっていた。
艦長たちの無事を確認したバルトらは、カレルレン艦とアルカンシェルを追って発掘現場へ急行した。その頃、ギアに乗ったグラーフに、ミァンからの通信が入っていた。
ミァン「彼が再び目覚めようとしているわ。彼の仲間は今はゼボイム。あそこに何があるか、貴方の方が良く
知っているでしょう? 彼は渡そうとはしない。けど、私たちにも必要なものなの。だから、お願い……」発掘現場。小さな無人の孤島にある入り口から入り、エレベーターで下った先には、巨大な地下空洞があった。
空洞の地面を、高層ビル群とアスファルトが埋め尽くしている。その遺跡を遥か眼下に見下ろす渡り廊下に
来た時、エリィがトリップしたようにつぶやいた。
エリィ「空洞都市ゼボイム……。私達は、自らをこの広大な霊廟に葬った…」
我に返ったエリィと共に、バルトたちはソラリス兵を撃破しながら遺跡内部を進んだ。発達した文明を示す
ように、各所に超近代的な設備があった。どうやらこの施設は、その稼動時に放射能汚染を防ぐために閉鎖
されたようで、各所の隔壁が閉ざされていた。そのロックを解除しつつ進むと、最奥部に、パスワードで
ロックされたナノリアクター室に行き当たった。
その部屋を見たエリィの脳裏に、血まみれで通路に倒れふす自分とそれを見て泣いているフェイの姿が浮かんだ。
エリィ「あの子はあの時からずっと、一人ぼっちでここにいたのね……」
そうつぶやいた彼女は、ツカツカと制御室に向かい、扉のロックを解除した。
エリィ『新たなる魂の器よ。願わくば宿るべきあなたのその魂に安らぎあれ』
ロックが解除されるのと同時に、ナノリアクターが稼動し、リアクター内に緑の髪をした少女が生成された。
そこへ、ストーン司教が現れた。彼は、ナノマシンの群体である少女を「ヒトのクビキを外す存在」と呼び、
少女を連れ去ろうとした。
司教「これはヒトの救いとなるもの。これによって、選ばれた人間は救済されるのです」
ビリー「それは何か間違っています。信仰による救いの機会は等しく与えられるべきです」
司教「そもそも信仰とは選ばれた者だけが救われる事を期待するものなのです。貴方は全てのヒトを救えますか?
カレルレン様がこのナノマシンを使えば、少なくとも選ばれたものは救われるのです」
ビリー「司教様、貴方はこの少女を使って何をしようとしているのですか? 僕は貴方が義しき者とは思えない。
残念ですが、貴方のお心に沿うわけには参りません」
残念です、そう言って立ち去ろうとした司教を止めようとするエリィ。しかし、司教の護衛として付いていた
エレメンツのサイボーグ娘トロネと天然ボケウサギ娘のセラフィータに阻まれた。
ラムサスの頭越しの命令で乗り気でないと言いつつもサイコガンやら鉄板をもぶち破る頭突きやらで攻め立てる
二人を撃破し、エリィたちは司教の後を追った。その頃、ユグドラシルではフェイが夢を見ていた。
ナノリアクター室にいる自分。彼は窓ごしに、エリィが銃殺されるのを何も出来ずに見ていた。
「その子を渡すわけには……いかないよね……」そう言って彼女は事切れた。
フェイが叫ぶと同時に周囲が暗転し、ニタリと笑った幼いフェイが彼の前に現れた。
「ククク……じゃあな……」
看護婦が病室に来た時、ベッドにフェイの姿は無かった。◆深海にねむる少女 魂の在処
司教の後を追うエリィたちは、ゼボイムが見渡せるあの渡り廊下で追いついた。少女を取り返そうとした、
その時、突然真紅のギアが現れ、あの赤い長髪の男が降りてきた。彼も少女を取り返そうとしているようだった。
真紅のギアを見たバルトは、ユグドラの恨みもあって男に突っかかって行った。男はイドと名乗り、バルト
たちに襲い掛かった。イドは凄まじい程のエーテルを操り、リコですら全く歯が立たなかった。
あわやここで皆殺しかと思われたとき、ワイズマンがギアに乗って現れ、イドを掴んだ。その隙にエリィたちは
その場を離脱、司教を追ったが、既に時遅し。カレルレン艦は転移してしまった。追撃のしようもなくユグドラシルに戻るエリィたち。その中で、シタンは司教の言った「クビキを外す」と
言う言葉が気に掛かっていた。カレルレンがナノマシンを使い、その昔リコやハマーのような亜人を作り出す
事となったような実験を再び始めたら……。彼はそう危惧していた。ユグドラに戻った彼らは、ギアハンガーでフェイに会った。彼は気づいたらギアに乗っていたという。
いまだふらつく彼をエリィたちが心配していると、ユグドラにアルカンシェルが接近したとの報があった。
フェイを休ませて迎撃に出たビリーたちの前に、ウェルス化した司教の乗るアルカンシェルが迫る。
と、そこへグラーフのギアが現れ「我が拳(ry」と言って司教に力を与え、飛び去った。
新たな力を与えられたアルカンシェルは、強固なエーテル障壁を展開し、全くダメージを受けなかった。
攻めあぐむビリーを見て司教は嬉しそうに笑い、そして高笑いと共に話し始めた。
司教「良い事を教えてあげましょうビリー。私は4年前、ウェルスを使ってラケルを浄化して差し上げました。
そしてもう一つ、貴方が今まで浄化してきたウェルスとは全てカレルレン様が術を施したただのヒト!
貴方はヒトを屠っていたのです。フハハハハ! さあ、ザンゲなさい! ジェサイアの息子!!」
ジェシー「いいや、お前が悔いる事なんてひとつもないぜ、ビリー!」
と、そこへ、ジェシーが小型のギア、バントラインに乗って現れた。バントラインの開発者であるシタンは、
それが人間弾頭のキャノン砲である事を思い出し、ビリーを止めようとしたが通信がつながらなかった。
キャノン砲に変形しレンマーツォの肩に乗った小型ギアのコックピットで、ジェシーはビリーに語りかけた。
ジェシー「もう解ったろ、捏造された信仰なんてまやかしだ。本当の神や信仰は自分の中に見出すものなんだ。
お前は倒したウェルスの顔を見た事があるか? ウェルス化するってのは凄まじく苦しいことなんだ。
その苦しみから逃れるため人の血を求める。しかし、本当にその苦しみから解放される方法は消滅
しかないんだ。お前に倒されたウェルスは、安らいだ顔をしていただろう? お前はウェルス化した
人を救ってたんだ。お前の信仰心はまやかしじゃない。神はお前の中にいるんだよ!」
そう言うと、ジェシーは合図した。ビリーがトリガーを引き、ジェシーの乗った弾頭が放たれた。
その爆発によってアルカンシェルの障壁は消え、彼らはこれを撃破した。落ち着きを取り戻したユグドラの甲板で、ビリーは妹プリメーラと共に、空を見上げた。
謝るシタンに手を振って、ビリーは空に向けて銃を三発撃った。
ビリー「親父を送るにはこれが一番です……」あ り が と う 親 父…
そ し て さ よ う な らと、なる筈もなく、ジェシーは無事に帰ってきた。なんでも、バントラインは改良してあったそうな。
父親の帰還に喜んで抱きついたプリメーラは、か細い声で「パパ」と喋りましたとさ。メデタシメデタシ。
XENOGEARS 後半 シェバト編
目次(タワー~女王謁見 襲撃~出発 ゲート編 ソラリス編 Disk2編)◆バベルタワー 天にとどく道
事態が一段落した後、フェイたちは、ジェシーが今まで何を目的に動いていたのかを聞く事になった。
ジェシーはソラリスにいた時、M<マラーク>計画について探りを入れていた。計画を進行させる為に地上人が
実験台に使われ、ウェルスになっていた事、計画の中心となるニコラと言う科学者が、真相を試作ギアに移し、
マリアと言う娘と共にソラリスを脱出した事を突き止め、その後地上に降りてその行方を追っていたのだと言う。
現在、その少女はシェバトにいるらしいのだが、連絡のつけ方すらわからないと、ジェシーは語った。
その時、『教会』本部で助けられ、ユグドラで治療を受けていたシェバト工作員が現れた。彼女も、虜囚と
なっていた為通信手段は無かったが、その昔シェバトがアクヴィの中心に立つバベルタワーの頂上にあった事
から、そのバベルタワーに行けば何か連絡手段があるかもしれないと言った。
ほかに手段もない彼らは、ダメでもともと、バベルタワーに向かう事にした。アクヴィ群島の中心にそびえるバベルタワー。高さが5kmにも及ぶこの塔は、いつ建造されたのかすら定かに
なっていない。通常は『教会』が調査をするため入り口を封鎖しているのだが、先だっての本部壊滅により、
警備がなくなっていた。
フェイたちはギアに乗り、その塔へ入った。塔の内部は広大な吹き抜けになっており、フェイたちは壁から
壁へつながる足場を渡りながら上を目指した。しばらく上ると、壁に張り付くように止まっている輸送列車
のような物があった。その列車はギアでそのまま乗れるほど巨大で、現在もエネルギーが生きており、その
列車に乗ってフェイたちは一気に塔を駆け上った。やがて外壁に出ると、列車前方の線路に向けて砲撃があった。ラムサス艦からの攻撃だった。
列車を離脱し、外壁に飛び出たバルコニーでラムサスを迎え撃ったフェイたちは、これを撃破した。
ラムサス艦がラムサスの撤退を援護すべく砲撃を開始した時、遥か上空からラムサス艦へ向けて光の矢が
降り注いだ。それがシェバトからの攻撃だと知り、ラムサス艦は回頭、急速離脱した。
思わぬ援護に戸惑いながらも、彼らは頂上へ向かう為、壁に巨大な鏡があるそのバルコニーを後にした。再び塔内部に入った彼らは、コントロールルームのような場所を見つけた。通信設備は生きているようだが、
シェバトとの交信は出来なかった。その他に何かないかと調査をするも、結局外壁の鏡を操作する事ぐらい
しか解らず、彼らはその場を後にした。
さらに先に進んだ彼らは、石材で作られた家屋が並ぶ居住区のような場所に出た。しかし、奇妙な事に、
それらの家屋は塔の外壁を地面にして横に建てられていた。
その家屋を足場にさらに上っていくと、ついにバベルタワーの頂上に出た。しかし、そこには通信設備の様な
ものはなく、ただ空が広がっているだけだった。
辺りを見回していたフェイたちに突然声が掛かった。見ると、空からカラミティに似た大型ギアが降りてきた。
ギアの頭には少女が乗っており、少女はフェイたちに退去を命じて襲い掛かった。
フェイたちが少女のギアの攻撃力に翻弄されながら抗戦していると、空から別の声が聞こえ、少女は矛を収めた。
彼女はフェイたちを試していたのだ。
フェイたちは、彼女に案内されてシェバトに入った。彼らがシェバトに入ったと言う情報は、すぐさまガゼルの法院の耳にも入った。
「ラムサスめ、シェバトとの接触を許すとは。あそこには"アニマの器"があるはずだ」
「我らの準備が整う前に同調されては厄介だ。我らの拠り代の型、合わなければ意味がない」
「シェバトごと葬るか? アニムスは他にもいる」
「シェバトのゲートはどうする?」
「なに、アハツェンの重力子砲で中和すればよい。再教育もすんだ。いけるよ」
「それは楽しみだ」◆天空のシェバト 風の声を聴け
シェバトのドック。ギアから降りたフェイたちは、少女に案内される事になった。
少女はマリア・バルタザールと言った。アヴェの地下鍾乳洞のバルタザール爺さんは、彼女の祖父だという。
マリアに案内される一行は、途中彼女のギア、カラミティの後継機だと言うゼプツェンの格納庫に寄った。
ゼプツェンを見上げながら、マリアは父の事を語りだした。
マリア「このゼプツェンは、父さんが開発したものです。父は、私を盾に取られて、無理やり研究をさせられ
ていたんです。でも、私には悲しい顔は決して見せなかった。ゼプツェンが守ってくれるよって。
五年前のあの日、父さんは私を庇って一人取り残されて…。父さんの笑顔を取り戻さなきゃ……
。 ……父さんはいつかきっと助け出してみせる!」その後、フェイたちは彼女の案内で王宮へ向かった。王宮の女王の間の前には、ワイズマンが待っていた。
彼に促され、フェイたちは女王ゼファーに謁見した。
女王は、一見すると少女のように見えるが、522歳になると言う。ある男に特殊な延命処置を施され、世界が
終わる日まで強制的に生きながらえさせられているのだと言う。これは償いなのです、女王はそういった。
さらに彼女は、ワイズマンにある男を監視させ、その傍ら、地上でシェバトの助けになってくれる者を探して
貰っていた事、500年前地上人の解放をかけてソラリスと戦い、抵抗を続けていた事を話し、フェイたちに
協力を頼んだ。
彼女は、フェイたちに考える時間を与え、宮殿で休ませる事にした。
女王「ことにエリィ。貴方は自分の家族や仲間と戦う事になるかも知れません。相当の覚悟が必要ですよ」
エリィ「……はい、承知してます」仲間達とわかれ、王宮内を見て回っていたフェイは、シタンの妻ユイと娘ミドリに会った。もともと彼女は
シェバトの生まれであり、ラハン村壊滅の後、生き残った村人達は彼女の案内でシェバトに移ったのだという。
彼女と別れ、さらに王宮内を回っていたフェイは、バルコニーでたそがれるマリアを見つけた。
マリア「戦う理由は、自分で見つけ、自分のものにしなければいけない。お爺ちゃんはそう言ってました。
このシェバトに来て三年。お爺ちゃんも女王様も、ひとりでソラリスに行ってはダメだって。でも、
ゼプツェンなら、どんな相手にも負けないのに。こうしている間にも父さんは……」◆侵入者! 格納庫で待つものは
翌朝。心を決めた彼らは、女王に謁見し、シェバトに協力すると伝えた。
女王が満足げに頷いた時、シェバトに衝撃があった。何者かがドックに侵入、ゲート・ジェネレーターの子機を
爆破したのだ。伝令の情報によると、侵入者はユグドラシル収容の為、ゲートを消した隙を突いて侵入、子機を
爆破し、ゼプツェンの格納庫に逃げたと言う。
フェイたちはマリアと共に格納庫へ向かった。格納庫で待っていたのは、ドミニアだった。
ゼプツェンの上に立つドミニアは、マリアを見ると、彼女の父ニコラが何の研究をしていたか語りだした。
ドミニア「ニコラは脳神経機械学の天才。うちの科学者たちはニコラに人と機械を一体化、つまり、生きた
人の脳とギアとをダイレクトに接続させる生体兵器を開発させたのさ。ニコラはそれを完成させた。
彼は地上人にとって地獄の門を開けちまったってわけさ。捕らえられた地上人はウェルスにされ、
合格したものがギアの制御回路として生まれ変わる。その試作機がこのゼプツェンだ。そして、この
ゼプツェンの神経回路には……」
彼女がそこまで言った時、どこからともなくジェシーが現れ、話を遮った。
彼に銃口を向けられたドミニアは、不敵な笑いを残して去った。
ドミニアの話に落ち込むマリア。だが、感傷に浸る間もなく、ソラリスの侵攻は続いていた。◆シェバト襲撃! 父の遺産
ソラリスの軍勢は、シェバトのゲートの出力が落ちた隙を付き、ジェネレーターの四つの親機を狙っている。
女王の間に集まったフェイたちは、戦闘経験のないシェバトの兵に代わって迎撃に向かうことになった。
ソラリス軍の情報を整理していたシタンは、正体不明の大型ギアの存在に気が付いた。そのギアがスクリーンに
映し出されると、マリアが声を上げた。ゼプツェンの二号機にあたるアハツェンだった。設計図は父が燃やしたはず、と困惑する彼女は、そのアハツェンからニコラの声が流れた事でさらに動揺した。
ニコラ「ネズミどもが逃げ込んだらしいな。ちょうど良い。シェバトごと叩き潰してくれる!」
動揺するマリアを女王が一喝し、シタンは作戦を全員に伝えた。四つのジェネレーターを各個に防衛するのだ。
即座に迎撃に出たフェイたちは、獅子奮迅の活躍で侵攻部隊を退けた。
しかし、アハツェンから放たれた対ギア用サイコ・ジャマーを受け、フェイたちのギアは沈黙してしまう。この事態に際し、女王の間に残っていたシタンは、マリアにゼプツェンで出撃するよう頼んだ。アハツェンの
兄弟機であるゼプツェンなら、ジャマーに対するシールが搭載されているはずだと考えたのだ。
しかし、父と戦う事はできないと、彼女はそれを拒んだ。
すると、なぜか付いてきていたチュチュが迎撃に出ると言う。制止も聞かず出て行くチュチュ。
後を追ってバルコニーに出たマリアは、チュチュが巨大化する現場を目撃してしまう。
巨大化したチュチュはアハツェン相手に善戦。しかし、アハツェンの主砲に打ちのめされてしまう。
それを呆然と見ているマリアの所にミドリが現れた。
ミドリ「呼んでる……、お父さん……」
マリア「えっ? ……! ゼプツェン!!」
彼女は走り出した。格納庫へ駆け込んだマリアは、ゼプツェンを発進させた。アハツェンと対峙するマリア。その彼女にニコラが語りかける。
ニコラ「マリア、私と共に来い。愚かな者と滅びる事はない。これからはずっと一緒にいてあげるよ」
ニコラの呼びかけにひるむマリア。しかし、ゼプツェンがアハツェンを攻撃した。それを見たマリアは決断した。
マリア「アハツェン……あなたを倒します!」
超重量級のバトルを繰り広げるゼプツェンとアハツェン。やがて、再びニコラが語りかけた。
ニコラ「今から遠隔操作でゼプツェンのグラビトン砲の封印を外す。ニコラはもういない。ソラリスの洗脳を
受ける前、アハツェンにはゼプツェンと共鳴して発動する良心回路を組み込んだ。このメッセージは
そこからのものだ。戦闘中に私のデータは全てゼプツェンに転送した。体は失っても、心はマリア、
お前と共にある。これからもずっとな……」
ゼプツェンのグラビトン砲が発動した。それを避けもせずに受けて、アハツェンは消滅した。ソラリスの侵攻が落ち着いた頃、フェイたちは女王の間に集まっていた。
真の自由を得るため、ソラリスを倒すと心に決めた彼らに、女王はソラリスが三つのゲートによって隠されて
いる事を教え、そのゲートを取り除かなければソラリスにはいけないと言った。
ゲートの一つは『教会』本部の地下、ギアでも潜れない深さにあり、他の二つは場所が分からないと言う。
さらに女王は、アヴェ軍がニサンに侵攻したという情報を伝えた。目的はニサンに眠るファティマの至宝、
つまりロニ・ファティマの残したギア・バーラー。
それを聞いてバルトは憤慨し、すぐにニサンへ向かおうと提案、フェイたちもそれに同意した。出発前、彼らはワイズマンの師であるガスパールに教えを受け、新たな力を身につけた。
ガスパールは、女王に会うと、私はあの愚行を繰り返さぬように監視に来たのです、そう語った。
その頃、ドックで異変が起こっていた。地下にあるギア・バーラーがエリィと同調して起動したのだ。
それを聞いた女王とガスパールは、やはり、と頷いた。それを受けて傍にいたワイズマンが言った。
ワイズマン「しかし、あの娘は乗ろうとはしない。無意識に気づいてるのです、わが身に内在する存在に」
女王「彼女も……ソフィアもそうだったのでしょうか……。……すみません」
ワイズマン「いえ、私は"彼"そのものではありませんから……」
こうしてフェイたちは、マリアを新たな戦力に加え、ニサンへ向かった。
ゲート編◆砂漠の王 守れ、ニサンの微笑み
シェバトの技術によって飛行ユニットを取り付けられたユグドラシルは、飛行船ユグドラシルIII世となった。
そのユグドラシルで一路、ニサンに向かったフェイたちは、法王府の街中に駐留していたシャーカーンの兵を
一掃し、街を開放した。だが、街に住民の姿はなく、修道院にシスターが残っているのみだった。そのシスターたちのまとめ役であるアグネスに、フェイたちはこれまでの事情を聞く事になった。
以前バルトたちが出発してから、町の住民の大半が、歴代のアヴェ国王と大教母が祭られている大霊廟に
避難したのだが、シャーカーンはその大霊廟にあるファティマの至宝を狙っているとのことだった。
アグネスは、彼が大霊廟の封印を、マルーの母である前大教母の亡骸を使って解こうとしていると伝えた。
バルトの話によると、ファティマの碧玉とはアヴェとニサンの王家の血筋の者の網膜の事であり、大霊廟の
入り口は網膜パターンを照合する事で開くという。シャーカーンは、遺体の網膜を使うつもりなのだ。
人質を取られてやむなく喋ってしまったと謝るアグネスをなだめ、バルトはすぐにも霊廟へ向かおうとした。
そこで、シグルドが提案をした。ニサン侵攻で手薄になったブレイダブリクを別部隊が攻め、奪還する事で、
シャーカーンの逃げ場を奪うと言うのだ。それをバルトは了承。作戦は即座に開始された。バルトたちは修道院の北にあると言う霊廟へ、マルーを伴って向かった。
入り口から長い階段をくだり、大きな広間に出ると、そこには避難していた住民たちがいた。
バルトは彼らに、街は開放され王都も間もなく奪還されると伝え、街へと帰した。住民らが立ち去った後、バルトたちは、広間の壁際に祭られた墓を調べたが、荒らされた形跡は無かった。
シャーカーンの手が伸びる前にと、彼らは広間中央のエレベーターからさらに地下に降りた。
エレベーターで降りた先は、まるで軍事要塞のように近代的だった。薄暗い廊下を進んでいくと、閉ざされた
扉の前にコンソールがある部屋に行き当たった。そのコンソールが、網膜パターンの読取装置だった。
片目が潰れているバルトに代わり、マルーが瞳を読み取らせた。開いた扉の先に進み、エレベーターでさらに
下層に下りた彼らは、また読取装置に行き当たった。
開錠された扉の先は広大な格納庫になっており、そこにギア・バーラー、E・アンドヴァリはあった。
ついに至宝を発見した彼らは、次にアンドヴァリを地上に出す方法を探した。すると、格納庫とは別の区画に、
ブリッヂらしき所を発見、早速コンソールを操作してみると、建物は大地を割って空へと浮かび上がった。
この要塞の望遠カメラは、はるか遠くバベルタワーまでスクリーンに鮮明に映し出した。気を良くしたバルトは、
アンドヴァリを出すため天井をあけようとしたが、何を間違ったかビーム砲を撃ってしまう。
フェイたちの冷たい視線をかわすように碧玉要塞とこの要塞を名付け、バルトは改めて天井をあけた。すると、それを待っていたかのように、天井からシャーカーンが従者と共にギアで侵入してきた。
シャーカーンは、バルトたちがこの要塞の封印を解くのを待っていたのだ。
バルトは歯噛みし、侵入してきた兵を蹴散らしながら格納庫に向かった。彼らは格納庫前の通路でシャーカーンと
対峙したが、兵に囲まれ、身動きが出来なくなってしまう。その中で、兵の一瞬の隙を付いてマルーが包囲を
脱出、格納庫へと向かった。
シャーカーンがマルーを追って行った時、シグルドとシタンが現れた。王都奪還を他の者に任せ、加勢に来たのだ。
彼らの力を借りて兵を一蹴し、格納庫へ向かったバルトたちだったが、扉がロックされてしまい、片目のバルト
では扉を開ける事が出来ない。焦るバルトをいなし、シグルドが自分の片目を読み込ませ、ロックを解除した。
その事に疑問を持つ間もなく、格納庫に向かったバルトは、アンドヴァリに乗って応戦するマルーを見た。
銃弾が飛び交う中、アンドヴァリに乗り込んだ彼は、傷ついたマルーと操縦を交代、敵機を撃破した。
彼の戦いぶりに劣勢を感じたシャーカーンは、あっさりとその場を離脱した。マルーの手当ての為にシャーカーン追撃を諦め、バルトは気を失った彼女をギアから下ろした。
彼女に応急処置を施しながら、シタンは、このギア・バーラーが、搭乗者の精神波と同調して動くのでは
ないかと推測した。マルーがこの機を動かせたのも、バルトの力になろうと言う、彼女の必死な思いがあった
こその事だったのだ。◆第一のゲート マルーの祈り
アンドヴァリを要塞から出した後、彼らは法王府の議事堂に集まっていた。
王都の部隊は既に王城へ入ったとの事だった。王都からの情報では、ニサンの西の大洞窟にゲートがあり、
そこにシャーカーンが向かったと言う。バルトたちはすぐさまその洞窟へ急行した。洞窟の奥には大きな扉があり、それを開いてさらに進むと、巨大な空洞の中に造られたゲート発生装置があった。
その前でシャーカーンが待っていた。バルトたちが臨戦態勢を取ったとき、どこからともなくグラーフが現れ、
「我が(ry」と言ってシャーカーンに力を与えて去っていった。
新たな力を得、さらにゲートのエネルギーをも吸収したシャーカーンの攻撃は激烈を極めたが、バルトには
アンドヴァリがあった。アヴェの危機を救うと言う伝説のギア・バーラーによって、シャーカーンは討たれた。アヴェ国民の歓呼の中、バルトは王城のバルコニーに立った。彼は集まった国民にアヴェの奪還を宣言。
さらに、亡き先王の遺言状に従い、王制を廃しアヴェ全土を共和国家とすることを宣言した。その夜。バルトは、メイソン卿から昔話を聞きだした。先王はバルトの母親と知り合う以前、別の女性と恋仲に
あったが、その女性は、ある日突然行方知れずになり、噂ではその後子供を生んだと言う。
その話を聞いたあと、バルトはシグルドに会いに行った。彼の母親は、自分が短命であるのを知り、死に別れる
ことを恐れて当時の恋人の下を去ったのだと言う。シグルドが生まれた事は、父親には知らされなかった。
バルト「親父の遺言には続きがあったんだ。お前が得た者は兄と分かち合いなさい。お前と兄の得たものは、
全ての民と分かち合いなさい……ってさ。それだけ言っておきたかったんだ。じゃ、おやすみ」◆第二のゲート バベルの輝きは
翌日、王城の会議室にフェイたちが集まっていた。議題は、第二のゲートについて。
『教会』の地下にあるゲートをどうやって破壊するかが話し合われていた。その結果、以下の作戦が立てられた。
碧玉要塞の強力なビーム砲。それを、同じ文明が造ったものと思われるバベルタワーの鏡で反射させ、『教会』の
地下に撃ち込む。一見荒唐無稽に思えるが、他に良案もなく、彼らはこの作戦を実行することになった。その頃、ソラリスではラムサスとミァンがガゼルの法院の前に立たされていた。
ラムサスはガゼルから、フェイたちとシェバトの接触を許した事を厳しく叱責されていた。
「塵め。ラムズたちはゲートに向かうはずだ。今度こそ、その"本来の力"見せてもらいたいものだ」
ガゼルの法院が消えると、ラムサスは艦に戻ろうとした。しかし、先の戦闘の傷が癒えておらず、動ける状態
ではない。見かねて、エレメンツの四人が出撃を願い出た。敬愛するラムサスの名誉の為に。バベルタワーにフェイ、エリィ、シタンの三人が来ていた。彼らはここで、碧玉要塞から放たれたビームを
反射させる鏡を操作するのだ。一方、他のメンバーは、碧玉要塞で準備を開始していた。
その彼らに、エレメンツが襲い掛かった。碧玉要塞には、専用ギア、スカイギーン、グランガオンに乗った
トロネとセラフィータ。バベルタワーにはブレードガッシュ、マリンバッシャーに乗ったドミニアとケルビナ。
フェイたちはエレメンツを迎撃しつつ、作戦を実行、第一射は外したものの、二射目は命中させた。
ゲートが破壊された事を知ったエレメンツは撤退。フェイたちは見事作戦を完遂した。◆暗き海の底 第三のゲート
ガゼルの法院が、カレルレンと協議をしている。
「ゲートの残りは一つ。このエテメンアンキの市民に動揺が広がっておる」
カレルレン「衆愚など天帝の言葉で何とでもなる。天帝の肉体も限界に来ているが、ダミーを使えばよい。
それよりも、メモリーキューブから面白い情報が得られた。あのラムズたちの中に"母"がいる」
「我らの"母"が他にもいると言うのか。なぜ今までそれに気づかなかった」
カレルレン「"母"の仮面<ペルソナ>は一定の年齢に達せねば現れん。そしてそれは"対存在"の可能性が高い」
「"対存在"……。あのニサンの女のか……」
カレルレン「確認の為に、ゼボイムから回収した"エメラダ"を使う。"母"が言うには、あのナノマシン群体は、
ゼボイム時代の"接触者"と"対存在"が創ったらしい」
「"母"の記憶か……」
カレルレン「うむ。何らかの反応が得られるはずだ。何も無くても、あれの調査は終わってる。もう必要ない」三つのゲートは、ソラリスを中心に正三角形の頂点にそれぞれ配置されている。その情報と、エリィたち
ソラリス組の情報を総合して考えた結果、三つ目のゲートはイグニスの南の深海にある事がわかった。
海中と言えば、タムズ。という事で、フェイたちはタムズの艦長の協力を得て、第三のゲートへ向かった。ゲート発生機の前には、二機のギアが待っていた。エメラダ専用ギア、クレスケンスと、カレルレンの従者、
人機融合を果たしたケンレンだった。
フェイたちに襲い掛かるクレスケンス。ケンレンはその成り行きを見守っていた。
やがて、エメラダが苦しみ始めた。インプリンティングの発露。ケンレンはそう確認し、その場を去った。
ケンレン「その娘は進呈します。ご自由にお使い下さい。なにせあなたの"娘"ですから」ユグドラシルに戻るとエメラダは、フェイを「キム」と呼んでまとわり付いた。父親だと思っているらしい。
エメラダ「キム! ホントにいたんだ! ずっと夢の中の人かと思ってた!聞いてキム! あたし
ずっと昔の夢を見てたんだ。キムが今より大人で、あたしはなにか透明な筒の中にいて…
キムはふわふわした白いお菓子にローソクを立てて……。なにやってるのか解らなかったけど、
あたしがここから出るのを楽しみにしてるって解った。でも、いつの間にか誰もいなくなって、
体もなくなって、長い間一人きりで……もういなくならないでね、フェイのキム!」その頃、ユグドラシルにシェバトから、ソラリス発見の報が入っていた。ユグドラシルは一路シェバトに向かった。
ソラリス編
目次(潜入~研究所へ カレルレン研究所 ソラリス脱出~Disk1終了)◆天上の楽園 ソラリス潜入!
ソラリスのゲートは、本土にある発生機によって完全には消えていなかった。しかしながら、その効力は
かなり弱まっており、ゼプツェンのグラビトン砲でわずかにこじ開ける事ができるとの事だった。
その一瞬にフェイ、シタン、エリィの先発隊が侵入、他のメンバーは別ルートから侵入する事になった。一度解散し、みなが準備を整える中、シタンは妻ユイから、シタン自らが封印した剣を受け取った。
これからの戦いは、負ける事が許されない戦いなのだ。そう自分に律し、シタンは妻と別れた。その後、フェイたちはゼプツェンに乗ってソラリスに向かった。なぜかハマーも一緒に。
フェイたち三人が最初に降り立ったのは、地上から上がってきた物資を集配する所のようだった。
とりあえず情報収集をする事になり、輸送用のコンテナを調べていたフェイだったが、突然そのコンテナが
動き出し、どこかへ運ばれてしまった。
着いた先は居住区のような所だった。第3級市民層。通称働き蜂と呼ばれる地上人たちが住んでいる区域だ。
ここに住んでいるものは、アレンジと呼ばれる洗脳を受け、昔の記憶もなくして奴隷のように働いていた。
後を追ってきたエリィと合流したフェイは、とりあえずこの区画を出る事にした。シタンとはまだはぐれた
ままだったが、彼はこの街に詳しい為いずれ合流できるだろうとの事だった。第3級市民層と第2級市民層を繋ぐ唯一の通路、監視塔。二人はそのセキュリティをエリィのIDを使って抜けた。
そこでフェイは、ソラリス市民の生活を見ることになる。隅々まで清掃の行き届いた道。その道をホバーカー
が走っている。市民は高度に発達した科学技術により病に悩まされる事もなく、何不自由なく暮らしていた。
戦に乱れる地上と比べると、まさしく天上の楽園といった趣である。
ホログラフで彩られた煌びやかな街を歩いていた二人は、アラボト広場で軍の観艦式が行われると知った。
ゲートの消失による動揺を抑えるために、何らかの情報が提示される。そう考えた二人は広場に向かった。空中戦艦が艦隊飛行を披露するなか、天帝が壇上に現れ、市民に語りかけた。
天帝「地上ゲートの消失は、前もって計画されていた事である。"福音の劫"に向け、我々は神の眠る地、
"マハノン"への扉を開いたのだ。愚かなる獣ラムズに我らの力を知らしめようぞ」
天帝の演説を魅入られたように聞いていたエリィは、フェイに呼ばれて我に返った。
壇上では、天帝の次に、カレルレンが演説を始めた。
カレルレンを見て、フェイはデジャヴを覚えた。そして、彼の古い記憶が揺り起こされる。500年前のニサンの大聖堂。そこでフェイ、いやラカンはカレルレンに会っていた。
絵の具を取りに帰るというラカンに、カレルレンは護衛を買って出たのだ。当時、既にソラリスとの戦争が
始まっていた。道中、ラカンはカレルレンの変貌を語っていた。冷酷非情な軍人であったカレルレンは、
ソフィアと出会う事で学問に目覚め、人としての心を取り戻したのだった。彼は、メルキオールと言う師の
下について、分子工学を研究していた。ある日、彼は研究が結実したとラカンに嬉しそうに語ったのだった。この記憶は、明確にフェイが思い起こしたものではない。カレルレンの姿を目にした事により、無意識下で
呼び起こされ、それがフェイにはデジャヴのように感じられたのだった。
そのカレルレンの演説は続いていた。彼はエテメンアンキに侵入した地上人を捕らえたと言った。彼の傍に、
別ルートで潜入していたバルトたちがホログラフで表示された。
カレルレン「古のガゼルを蘇らせる為に、この者たちを明後日、ソイレントシステムにて処分する」◆逃避行 なつかしの我が家
カレルレンの言葉を聴き、すぐにも助けに行こうとするフェイと、それを抑えようとするエリィはやがて
口論になり、警備兵に見咎められてしまう。即座に逃げ出した二人は、セキュリティに追われ、下水道に
逃げ込んだ。下水道を抜けた先は第1級市民層だった。出口から歩くと、程なくしてエリィの家に辿り着いた。家に入ると、母のメディーナが驚いた顔で出迎えた。エリィは行方不明と知らされていたのだ。
一通り言葉を交わした後、エリィたちは彼女の自室へ移動し、一息ついた。シャワーを浴び、落ち着いた所で
フェイが彼女の母親の話題を振ると、エリィの顔が曇った。彼女には地上人の乳母がいた。自分の髪の色と
外見がソラリス人のそれと違う事から、エリィは地上人の乳母が実の母親ではないかと思っていたのだ。重くなった空気を振り払うように、彼女はバルトたちを救い出す手立てを考えようと提案した。
彼女は、自分の父の自室にある端末からソイレントシステムの情報が得られるかも知れないと考えた。
父親エーリッヒの部屋に移動した二人は、ネットワーク端末にエリィの名前を逆から入力したパスワード、
「MYYAHELE」でログイン。検索の結果、第3級市民層のダストシュートからソイレントに入れる事を突き止めた。その時、エーリッヒとメディーナが部屋に入ってきた。自室にいるフェイを見たエーリッヒは、部屋の電話で
軍警に出動を要請し、フェイに銃を向けた。
エリィ「やめて! フェイは捕らえられた仲間を助けたいだけなの!」
エーリッヒ「エリィ、反逆者がどうなるか知っているだろう? 私はお前の身を案じて……」
エリィ「嘘! お父様は自分の立場が危うくなるのが嫌なだけでしょう!? 私のユーゲント入りを反対したの
だって、地上人との間に生まれた私を皆に見せたくなかっただけじゃない!」
エーリッヒ「お前はまだそんな事を……よく母さんの前でそんな……!」
フェイ「やめてくれ! 俺のせいで親子喧嘩なんて…。俺がここから去ればいいだけだ。エリィ、お母さんの
前であんな事言うもんじゃないよ。あの表情は決して他人の物なんかじゃない、そうだろ?」
そう言うと、フェイは部屋から出ようとした。すると、エーリッヒは窓ガラスを銃で割った。
エーリッヒ「たとえ侵入者であっても、娘を守ってくれた事は確かだ。侵入者は逃げた。それで良いだろう」
その場を去ろうとするフェイにエリィは同行しようとしたが、エーリッヒに止められた。
フェイも彼女を抑え、「今度こそ軍を抜けろよ」そう言って立ち去った。◆孤独な狼 闇の底をかける
エリィの家を出た後、フェイは第2級市民層の監視塔へ向かった。そこではシタンが待っていた。
彼はあの観艦式を映像で見て、フェイの行動を推測し先回りしていたのだ。
二人は、シタンのIDを使って監視塔を抜け、第3級市民層へ向かった。その頃、エリィは家を抜け出そうとしていた。メディーナとエーリッヒはそんな娘に語りかけた。
メディーナ「貴方の思うようになさい。それと、貴方はまぎれもなく私の子よ」
エーリッヒ「私のIDカードを持って行け。…自分の選んだ道を歩く……それは、人の本来の姿なのだ……」
二人に別れを告げ、エリィが家を出ようとした時、帝室警備隊が彼らの家に現れた。
軍警よりも遥かに地位の高い警備隊が来た事で、エーリッヒはエリィがガゼルの被験体にされるのだと知った。
彼は3級市民への降格を覚悟で警備隊に反抗、エリィを逃がした。◆疑惑 死のカレルレン研究所
フェイとシタンの二人は、ダストシュートにいた。扉が開けられず思案に暮れている二人に、エリィが合流した。
エリィは一通り事情を話すと、エーリッヒのIDカードを使って扉を開けた。ダストシュートから出て少し行くと、レトルトパックや缶詰などが保管されている倉庫のような部屋に出た。
その先がソイレントシステムと呼ばれる施設になっているようだった。
それまで飲まず食わずだったフェイとエリィは、倉庫にあった缶詰の肉で簡単な食事を済ませ、先に進んだ。
そこは、先ほどの缶詰などを作っている工場のようだった。何かの動物がプレス機でミンチにされ、ベルト
コンベアに乗って流れていた。
エリィ「いやね……何の肉かしら」
フェイ「作ってる所は見たくないな……」
シタン「待ちなさい。貴方達は先ほどあの缶詰を食べました。それをよく認識して先に進んでください」
彼の言葉に不安を覚えながら、フェイとエリィは先へ進んだ。
そこで二人が見たものは、死んだウェルス、つまりは人が、コンベアで運ばれ、ミンチにされる光景だった。
ショックを受けたフェイの脳裏に幼い頃の記憶がフラッシュバックした。
どこかの研究室の寝台に寝かされた彼。ガラスの向こうでは彼の母が冷たい目で彼を見ていた。口を押さえうずくまるエリィ、へたり込むフェイ。シタンが淡々と語った。
シタン「ソイレントシステム。ソラリスの生体実験場とその処理施設。そして刻印<リミッター>(註1)維持の
為の食料、薬品の生産施設。アクヴィのウェルスもここで造られたのです。エリィ。ドミニアがなぜ
貴方を憎むのか。その答えがここです。彼女の祖国エルルの人々は、その能力の特異性故、M計画…
つまり、ウェルスの母体とされていた。エーリッヒ卿は以前この施設の総括官であり、ニコラと共に
研究に携わっていました。もちろん、常に良心の呵責に悩まされていた。だから出来うる限り集めら
れた地上人を3級市民として保護し、そして身を退いたのです」
ショックを受けるエリィとフェイを促し、シタンは先へ進んだ。工場を抜けると、建物の雰囲気は研究所のそれへと変わった。奥へ進むにつれ、様々な施設を彼らは見る事に
なる。人をウェルスへと変える現場、ウェルスに変えられた人々が入れられている檻、巨大なウェルスの
サンプルの保管庫、メモリーキューブが集められた部屋。そしてある場所では、通常の3倍(!?)はあろうかと
言うギア・バーラーを発見した。
やがて彼らは、P4と表示された扉の前に来た。そのロックを難なく解除するシタン。
フェイは彼に、この施設について尋ねた。
シタン「元々ここは、原初の刻より生き続ける御方、天帝を頂点とするガゼルの法院の延命研究の施設だった。
原初の刻。つまり一万年前、地上にヒトが生まれた。その最初のヒトが天帝と12人のガゼルなのです」
エリィ「そんな……一万年も生きる人間なんて……」
シタン「もちろん、それは天帝一人。彼は死ねない運命にあるのです。だがガゼルの運命は違った。500年前の
地上との戦争で、彼らは肉体を失ってしまったのです。現在ソラリスを統治してるガゼルは、メモリー
バンク上に存在するデータ。肉体も魂もない単なる数字の羅列に過ぎない。崩壊の日(註2)の後、肉体に
固執する彼らは自らに相応しい肉体を創る為にソイレントシステムの一つをエテメンアンキに写した。
その後、ここは民意統制用の薬品や生物兵器の研究にも使われるようになった。
我々が何気なく使っていたメモリーキューブも、ガゼルの肉体復活の為に地上人のデータを収集する
目的で設置されたものなのです。
フェイ「さっきの工場で分解されてたウェルスたちも……」
シタン「使用済みの出し殻の再利用といったところでしょう」
思いもよらない話に、フェイたちはショックを隠せなかった。エリィ「ちょっと待って。おかしいわ。なぜ先生(シタン)がそんな事を知ってるんですか? そんな事、軍や
政府の要人でも知らない事なのに。M計画の真相を当のマリアよりも詳しく知ってるなんて……。
もっと早く気づくべきだった。先生……貴方は何者なんですか!?」
その時、突然辺りが暗闇に閉ざされた。気がつくと、フェイは周囲をスクリーンに囲まれた部屋で、拘束具をつけられていた。
スクリーンに、研究室の寝台に寝かされたバルトたちが映された。正面のスクリーンには、ガゼルの法院を
背にしたシタンの姿が。
「この男はソラリス守護天使が一人、ヒュウガ・リクドウ。天帝の命を受け、お前を監視していた。そして
お前に引き寄せられるであろう、我らが"アニムス"となりうる者を取捨選択、ここまで導いてきたのだ。
"アニムス"は我らの復活に欠かせぬもの。この者たちは我らの肉体……拠り代。ただそれだけの存在……」
フェイ「本当なのか先生! こいつらの言ってることは!!」
シタン「この三年間、私は貴方の傍にいた。見極めねばならなかった、我々の仇となるかどうかを……」
フェイ「仇……?」
「お前は我らにとって危険な存在。もっとも、監視を命じたのは天帝だ。我々はお前の消去を目論んだが、
悉く失敗した。それでも"アニムス"は手中に出来た。ヒュウガは良く働いてくれたよ」
フェイ「こいつらと組んで俺達を……。何が目的だ! お前達はこの世界を既に手中にしているはずだ!」
「我らが目的は神の復活。ヒトが地に満ちたとき、神とマハノンは目覚める」
フェイ「天空の楽園マハノン……。地に墜ちたと言う……?」
「我らの方舟……その中央ブロック"マハノン"。神の封印されし場所。そこは知恵の源。その知恵を使い、
目覚めた神を復活させ、神と我らを大宇宙へと運ぶ"方舟"を建造するのだ」
「我らが大宇宙に君臨するための軍団、天使<マラーク>の創造。そのためのM計画……」
「我々ヒトは、はるか昔、他の天体からこの惑星へ来た異星の生命体なのだ。我らは新たな"アニムス"を得、
神と一つとなりて再び星空へと還る。これは原初より運命られし事。我々の存在意義そのものなのだ」
「我らは神より大宇宙に君臨する権利を与えられた。福音の劫までに神の復活がなされぬ場合、我らは滅び
なければならぬ。だが、"アニムス"を得、我らの復活は約束された。後は神の復活と……」
スクリーンにカレルレンの姿が映し出された。
カレルレン「この者の目覚めを待つだけ……」
彼の背後には、寝台に寝かされたエリィがいた。カレルレンの私研究室。
目を覚ましたエリィに、カレルレンは語りかけた。
カレルレン「以前君が起した事件。原因はドライブによる力の暴走ではない。"君の中に眠るもう一人の君の
一時的な目覚め"によって起こったことだ。……これが何か解るかね。ナノマシンの一つ、アセンブラ
と言って、分子や原子を解体、再構築できる機械なのだ。ゼボイムで発見したあの娘を解析する事で、
ここまで小さく精巧に作る事が出来た。従来のナノマシンでは、遺伝子の組み換えは行えても、二重
螺旋の空隙部分…イントロンに隠された情報まではわからなかった。しかし、新しいナノマシンは、
容易くそれを見つけてくれた。本来あるべきではない情報をね。まもなくその結果が出る」
彼のデスクのスクリーンに解析結果が表示された。
カレルレン「ふむ。確かに類似波形を描いている。そして……おお、ウロボロス環! やはりそうか、これで
ミァン、そしてラカンの動き……全て説明が付く。エレハイム(エリィ)……君が"母"だったのだな」
エリィ「母……?」
カレルレン「これは君の遺伝子の、エクソン置換前の空隙……。本来は情報の存在し得ないイントロンを
概念化したものだ。この環は、"ある特別な存在"にしか存在し得ない情報だ。ウロボロス…大母とも
言われるこの概念の蛇が、自ら銜えたその尾を放せばどうなるか……君は興味がないか?」
エリィ「……」
カレルレン「エレハイム、君は美しい。"あの頃"と少しも変わっていない。"もう一人"のラカンと同様に」註1・・・500年前の大戦後、地上人の反乱を恐れたガゼルが、カレルレンの分子工学技術を用い、遺伝子
レベルで人々に組み込まれた精神と肉体の抑制装置。ソラリス人にも組み込まれている。
註2・・・500年前の大戦末期、突然現れたディアボロスと言う謎の第三勢力によって、地上、ソラリスの
区別なく、世界の人口は98%が失われた。その出来事を後に人々がこう呼んだ。◆脱出! 誰がために君は泣く
フェイの拘束されている部屋にシタンが入ってきた。シタンに怒りをぶつけるフェイ。だが、拘束具は彼の
神経の伝達を物理的に止めているため、彼は身動き一つ取れなかった。
シタンは、フェイを言葉で責め続けた。
シタン「青臭い理想論など、現実の前では何の力もありません。人はより大きな力に依存して生きている方が
いいのです。自分は独立した個人だ、と言う幻想だけを持って生きられる。なんと楽な事じゃないですか。
抵抗したところでむなしいだけです。辛いだけです。抵抗した結果が今のあなたの姿です。友人達を
助ける事も出来ず、エリィさえも守れない。実に無力だ、貴方は。どうする事も出来ないんだ」
フェイ「やめろ……やめて……くれ……」
やがてフェイが静かになった。それを確認したシタンは、ため息混じりに言った。
シタン「これでゆっくり話が出来ますね……イド…」カレルレンの私研究室。寝台に拘束されたエリィは、一人考え込んでいた。
そこへラムサスが入ってきた。彼は狂気に犯された目で、エリィにフェイの居場所を詰問した。
その答えが得られぬうちに、彼は目を爛々と光らせ「フェイめ…見ていろ…」そう言って部屋を出て行った。フェイが拘束されていた部屋。拘束を解かれたフェイが目を覚ますと、シタンとバルトたちがいた。
シタンに殴りかかろうとするフェイを押しとどめ、バルトが事情を説明した。
バルトたちの体に刻まれたリミッター。それを外すため、シタンは現時点で唯一処置が可能なこの研究所に
彼らを連れてきたかったのだという。さらに、ソラリスが何をしているのか、何をしようとしているのかを、
フェイたちは知るべきと考えたのだ。それ以外にもう一つ目的があったのだが、それは後々という事になった。
ともかく、彼らは行動を開始した。フェイたちはエリィを救出に、シタンは最後のゲートの破壊に向かった。フェイたちが首尾よくエリィを連れ出した頃、シタンはゲート・ジェネレーターでジェシーと合流した。
彼らが爆薬を仕掛け終わる頃、ラムサスが彼らの下に現れた。裏切り者、彼はそう言った。
シタン「裏切ったわけではない。私達は立つ場所が違うだけです。私はフェイ達といようと決めたのです」
ラムサス「貴様もか…! フェイフェイフェイ、どいつもこいつもフェイフェイ! 奴だけは俺のこの手で……。
その奴の下に行こうとする貴様らは敵だ! "俺のもの"を奪う敵だっ! 敵だっ! 敵だっ!」
彼の異常な言動に呆れたジェシーは、シタンを促してその場を去った。爆薬がジェネレーターに火をつけた。
ラムサス「この裏切り者ぉぉぉぉぉっ!!」
火に巻かれながら、彼は絶叫した。ソラリスを脱出するため、フェイたちは格納庫に向かっていた。ハマーが連れてきたメディーナも、一行に
同行している。エーリッヒは、一足先に脱出手段を確保するために格納庫に向かった。
合流ポイントになっている格納庫前の陸橋。そこで合流した彼らは、格納庫へ向かおうとした。
だが、エリィの悲鳴が彼らの足を止めた。ハマーがエリィを羽交い絞めにして銃を突きつけていた。
ハマー「エリィさんは戻ってもらうっす! カレルレンって人と約束したっすよ、エリィさんを連れて行けば
"変えないで"くれるって……」
リコ「ハマー! てめえ!」
ハマー「俺っちだってホントはこんな事したくないっす。でも、俺っちは"普通"の人間なんっす! フェイの
兄貴たちみたいに"特別"じゃないんす! こうするしかないんすよ!」
泣き顔でそうまくし立てるハマーに、メディーナが歩み寄った。
ハマー「動いちゃダメっす! 止まるっすよ!」
メディーナ「止まりません。わが子の危機ですもの。私はごく"普通"の母親ですから。"普通"だからこそ、
守らなければならないものがあるんです。さ、エリィ、ゆっくりとこっちにいらっしゃい」
ハマー「ダメっす! 行っちゃあダメっす……行っちゃ……ダメっすよぉ……」
彼の銃が火を噴いた。メディーナがゆっくりと倒れていく。ハマーが悲鳴を上げて逃げ出した。
エリィは、物言わぬ母をかき抱いて泣いた。その時、彼らの下にグラーフが現れた。その傍には、キスレブに現れた覆面の女がいた。
グラーフ「その女は置いていってもらうぞ」
そう言ってにじり寄ってくるグラーフ。しかし、そこへエーリッヒがギアに乗って現れた。
エリィたちの盾になろうとするエーリッヒ。だが、覆面の女のエーテルが、彼のギアに強大な圧力を掛けた。
エーリッヒ「エリィ、自分の信じた道を行け! お前はなんと言おうと、私とメディーナの間に生まれた子だ」
彼のギアが圧壊した。目の前で両親を殺された怒りで、エリィのエーテルが噴出する。
だが、その力も、覆面の女のエーテルに押し戻されてしまう。強大なエーテル波が、エリィたちを襲う。
その中で、フェイだけがエーテルを物ともせずにいた。しかし、彼はそれまでのフェイではなかった。
髪が見る間に赤く染まり、彼はあの赤い長髪の男、イドに変異した。その頃、ユグドラシルでも異変が起こっていた。ヴェルトールが独りでに起動したのだ。突如動き出した
ヴェルトールは、その外装をパージ、変形させ、赤く染まって行った。それはまさしく、アヴェの砂漠で
ユグドラシルを沈めた、あの真紅のギアだった。真の姿を現したヴェルトールは、ユグドラシルの隔壁を
突き破って飛び出し、瞬く間にソラリスのイドの下へ到達した。ソラリス首都、エテメンアンキが、たった一機のギアによって破壊され、墜とされる。
その光景を、シタンたちはユグドラシルから見ていた。爆発に巻き込まれまいと、全速離脱するユグドラに、
ヴェルトールが迫ってきた。バルトたちが混乱する中、エリィは一人、ヴィエルジェで迎撃に出た。
イド「フフ……お前か。殺されにきたのか?」
エリィ「それで貴方の気が済むならそうすればいい」
ヴェルトールの拳がヴィエルジェの腹部を貫いた。エリィはその手を握り締め、叫んだ。
エリィ「お願い! 元のフェイに戻って!」
イドとエリィ、二人のエーテルがぶつかり合い、凄まじい波動が放たれた。
イド「チッ……こいつ…… う…う……エ…リ…… クソッ……ヤツが目覚めた……」天帝「アーネンエルベ……なせるというのか?」
シタン「もはや管理者は不要だと結論します」
天帝「接触者……仇とならぬと?」
シタン「陛下の仰るとおり、フェイがそうであるならば」
天帝「……ならば託そう……」シェバト。女王の間に集まったエリィたちに、シタンが事情を説明していた。
シタン「"アーネンエルベ"……。この星に生まれた人々と共に新たな地平へと進む神の人。それは"接触者"の
運命。天帝はフェイをそう呼んでいました。理由までは教えてもらえませんでしたが」
バルト「ヤツは一体何者なんだ?」
シタン「彼はフェイです。そしてイドでもある。エルルを破壊し、ユグドラシルを沈め、リコの部下を……。
彼は多重人格なのです。私が彼の監視を始めて三年、イドの発露は見られませんでした。しかし、
ラハンの事件をきっかけに、その後徐々に発露の回数と時間が多くなっていった。恐らく、グラーフの
影響でしょう。ラハンに来る前、彼はグラーフと共に暗殺者として行動を共にしていました。
私は、イドが正体を知るため、先だってフェイが拘束された時、イドと話をしました」シタン「実に無力だ、貴方は。どうする事も出来ないんだ」
フェイが意識を失い、イドが現出する。イド「よく分かってるじゃないか。さすがはシタン……いや、先生と呼んでいたか」
シタン「会いたかったですよイド。ところで、フェイは今どうしています?」
イド「"お前達の知っているフェイ"は、俺が出ている間は寝ているよ。だから俺の事は何も知らない。ヤツは
俺の支配下にあるからな。俺の記憶を見ることは出来ない。元々ヤツは存在しないフェイ。父親のカーン
によって作り出された人格さ。三年前、カーンは、俺の人格を深層意識に封印した。その時にできたのが
ヤツだ。臆病者の部屋の間借り人さ」
シタン「臆病者とは?」
イド「本来のフェイ。出来損ないさ。現実から逃げ出し、生きる事を拒絶した情けない奴。虫唾が走るぜ」
シタン「なぜ貴方の心は分かれてしまったんですか?」
イド「思い出話でもしろってのか? 勘違いするな。俺はお前に質問の機会など与えてない。俺がその気に
なれば、こんな拘束なぞいつでもぶちやぶれるぞ」
シタン「しかし出来ないでしょう。貴方はフェイを完全には制御できていない。もしエネルギーを使えば
精神的に疲労し、フェイにステージを奪われてしまう。違いますか?」
イド「……よく解ってるじゃないか。確かに俺は……むっ……」
シタン「どうしました?」
イド「貴様に無理やり出されたからヤツが目覚めた。本来なら俺は自分でステージに立てるんだ。だが、
あの女、エリィのせいでそれが果たせない。あの女は……みんな同じだ……だから消してやる…」シタン「現在のフェイの人格は、イドと言う基礎人格の上に3年前に創られた、下層の模擬人格。だから、
彼にはそれ以前の記憶が無かったんです。さらに、現実の生活を3年しか経験していない彼は未発達で、
そのため突発的な出来事に対処しきれなくなる」
ジェシー「フェイはいつかイドに飲み込まれちまうのか?」
シタン「どうでしょうか。イドが臆病者と呼ぶ、本来のフェイの人格がネックになると思います。イドは
その人格を軽蔑しつつ、明らかに恐れていた。イドの表出はフェイではなく、臆病者によって抑制
されているのではないかと。なぜ臆病者が表出しないのか原因はわかりませんが、これが目覚めれば、
分離した人格が元に戻る可能性も出るのではと、私は確信したのです。どうすれば目覚めるのか、
それは解りません。ですが、基本的にフェイの存在が虚ろになるような事がなければ、フェイはフェイで
いられる訳です。平穏な場所で暮らせるのが一番ですが、状況がそれを許さないでしょうね……」その後、シェバトではフェイの処遇を決める会議が開かれた。シェバトの議会は、フェイの力を恐れた。
彼の力が、500年前、ディアボロスを率いて世界を崩壊させたグラーフの力と酷似していたからだ。
決議は下された。カーボナイト凍結。人を生きたまま石にする、シェバトの極刑だった。その夜、エリィは投獄されたフェイに会いに行った。
フェイ「俺はかつて世界を壊滅させたグラーフの再来だそうだ。グラーフも元はラカンと言う地上人だって」
エリィ「そんなのでまかせよ! ……逃げよう? グラーフや戦いがイドを呼ぶなら、静かな所へ……」
フェイ「ダメだ。戦場から離れたとしても、イドが出ない保証はない。それに……俺はエリィを殺そうと…」
エリィ「イドと戦った私が生きてるのは、多分、どこかでフェイの意識が働いて、すんでのところで外して
くれたからだと思うの。……もし、あなたがイドに支配されて、世界中が敵になっても、私だけは、
あなたの傍にいてあげる……。だって…だって…… "一人じゃ寂しいものね"」二人が格納庫に向かうと、シタンたちが待っていた。彼らは、二人の脱出を助けに来たのだ。ヴィエルジェが
修理中の為、シェバトのギア・バーラーを拝借しようと言うフェイだったが、エリィは激しく拒んだ。結局、
二人はヴェルトールに相乗りする事になった。朝陽を浴びて飛ぶヴェルトールに、ラムサスのギアが襲い掛かった。カレルレンにより与えられたギア・
バーラーだった。エリィの奪還。それがラムサスの目的のはずだった。しかし、バーラーの凄まじい力に
陶酔した彼は、エリィごとヴェルトールを撃墜してしまった。ヴェルトールの墜ちた森。重傷を負ったエリィを抱えて歩くフェイを、グラーフが静かに見ていた。
Disk2編
目次(トーラ宅~アニマの器回収 天帝暗殺~メルカバー カーボナイト凍結~エンディング)◆撃墜!! 大樹海に消えて
フェイは夢を見ていた。何人もの"接触者"の生涯。エリィも夢を見ていた。何人もの"エリィ"の生涯。
二人はその夢を見たことで、それぞれが何をすべきかを掴みかけた。森の中にひっそりと佇む住居。そこは、バルタザール、ガスパールと並び、シェバト三賢者と称される老人、
トーラ・メルキオールの研究所だった。その研究所のナノリアクター内でフェイとエリィは目覚めた。
三週間前、血まみれで倒れていたフェイとエリィを発見したトーラは二人を連れ帰り、ナノマシンで治療した
のだと言う。旧知の間柄であるシタンから二人の事を聞いていた彼は、フェイたちが眠っていた間に、ナノ技術を
用いてイドの発現を抑制する腕輪を開発。バル爺の協力も得て、ヴェルトールにも同様の装置を取り付け、イドの
力だけを任意に解放できる「システム・イド」を完成させた。目覚めた二人はトーラから、人々に刻まれたリミッターを解除する為のナノマシンを渡された。それを広域に散布
するため、彼らは古代の砲台に向かう事にした。
彼らが出発しようとすると、シェバトの使者が現れてフェイに助力を求めた。アヴェ・キスレブの和平調印式が
行われているシェバトに、ソラリスの機動要塞が接近していたのだ。
掌を返したシェバトの態度にトーラは怒りを露にしたが、フェイは人々を守るためにシェバトへ行く事に。
フェイたちが外へ出ると、シタンとエメラダがおり、事情を聞いた二人は、エリィと共に砲台に向かう事になった。フェイの出発を見送った後、シタンはエリィに尋ねた。
シタン「いいんですか? フェイの為に戦場から離れ、静かに暮らそうとしてたのに」
エリィ「私、現実から逃げてるって気づいたんです。最初は、フェイなら私の気持ちほ理解してくれるかもって
思ってた。本当に好きだったかどうか……。両親を亡くして自棄になってたのかもしれない……。
だから、一度離れて自分の気持ちを確かめたいんです……」フェイたちが出発した後、トーラの下にグラーフが現れた。
トーラ「やはり……あの二人をここまで運んだのはお前か。すぐに気づいたよ。あの頃のお前と彼女に
瓜二つなのだからな……ラカン」ガゼルの法院は、フェイが生きていることを知り、動揺していた。
カレルレン「ヤツには再びラムサスを差し向ける。依存はあるまい」
「娘はどうする。鍵が鳴動を始めておる。神の復活が近づきつつあるのだ」
カレルレン「娘の回収はいつでもできる。今でなくともな……」◆反撃開始!! 刻印を打ち破れ
シェバトに向かうフェイの前に、ギア・バーラーに乗ったラムサスが立ちふさがった。フェイはシステム・イドを
発動、これを撃破した。「お前さえいなければ」そういい残し、ラムサスは樹海に消えていった。エリィたちは、ソラリス守護天使時代に搭乗していたギア・パーラー、E・フェンリルを駆るシタンの活躍もあり、
無地に砲台に到達した。射出され、大気中に散布されたナノマシンは増殖しながら世界中に広まっていった。シェバトに着いたフェイはバルトたちと合流。機動要塞撃破の為に最終兵器を手にするため、キスレブへ。
キスレブ総統府の真の姿。それは、500年前にロニ・ファティマが建造した秘戦艦だった。過去の記録から
その事を突き止めた彼らは、数百年ぶりに総統府を起動。ユグドラシルを制御中枢として急襲形態へと変形し、
通常のギアの数十倍はあろうかと言う巨大ギアとなった総統府は、機動要塞をあっさりと撃破したのだった。和平は成され、地上に平和が訪れた。沸き返る人々を祝福するかのように、エリィたちによって散布された
ナノマシンが、光りながら彼らの上に降り注いだ。
異変は突然始まった。人々がウェルス化し始めたのだ。それは刻印<リミッター>が外され、本来の能力が開花
したヒトの姿だった。「"普通"の人間がどうなるか」フェイは、ソラリスでのハマーの言葉を思い返していた。「神の復活が近づいた為の自然発芽か。神の下僕となる者……鍵を使わずともこれほどいたとは」
「発芽しない者は神の肉体に定められし者か、あるいは神に仇なす者か……」
「要所のソイレントを再起動しよう。中途半端な変異。このままでは使い物にならん」ミァン「あなたによって抑えられていた『鎖』が外れたようね」
カレルレン「問題ない。先の帝都壊滅の際、大気に拡散するようにナノマシンウィルスを仕掛けておいた。
現在のヒトの異形化はその初期段階だ。ウィルスは、発芽した原体をコントロールできるものへと
変化させている。鍵に頼らずに目覚める者は、神本来の肉体を乗っ取る為に必要なのだ」
ミァン「神との同化の際に放たれるトロイの木馬……でも、あの子たちの思惑とは違うわね」
カレルレン「当然だ。『神の方舟』は私のものだ。」
ミァン「私にとってはどちらでもいい事……。確実な方につくだけだから」世界の至る所に存在するソイレントシステム。それは、ウェルス化した人々を分解、再構築し、生物兵器を
作る装置だった。それが"M計画"の真相。ウェルス化した人々はそこに集まっていた。耐え難い苦しみを
和らげ、短い命を長らえるため健常者の血肉を求める彼らは、ソイレントが苦痛から開放してくれると信じて。
いたのだ。フェイたちは、各地のソイレントを破壊する為、そこへ赴いた。
そこに集っていた人々に自らの血を与え、エリィは語った。
エリィ「癒しのために私の血肉が必要ならばいくらでもあげます。だから、人としての尊厳だけは捨てないで!」
やがて、ソイレントの人々はニサンに収容され、トーラのナノマシンによる治療を受ける事となった。
各地から集まり心の救いを得た人々は、献身的に介護するエリィを『聖母ソフィア』の再来と呼ぶようになった。その状況を知ったガゼルは、人々の決起を恐れ、『ゲーティアの小鍵』を発動させようとした。しかし、
天帝カインはガゼルが抗えぬ力でそれを押し止めた。もはやヒトに主はいらぬ。カインはそう言った。◆星よ知る、我らが魂の器 前編/後編
地上の混乱が沈静化した頃、フェイたちは、ガゼルに対抗しえる力、ギア・バーラーを手に入れる為、
その素体となるアニマの器を探していた。
ゼファー達からの情報を元に探索を続けた彼らは、太古文明の遺跡でついにそれを発見した。
そのアニマの器は、ビリーと同調。レンマーツォと同化してE・レンマーツォが誕生した。
目的を達し、帰還しようとした彼らを、エレメンツの四人が待ち受けていた。彼女らは、自らの専用ギアを
超獣合体させた巨大ギア、Gエレメンツで襲い掛かったが、フェイたちはこれを撃破した。
もう戦う理由はない。去っていくエレメンツに、エリィはそう、声をかけた。ガゼルの法院は、カイン暗殺の策を練っていた。それには、カインと同じ力を持つラムサスが必要だった。
ミァンは、もはや前後不覚の狂人となったラムサスをさらに追い込むべく、彼をニサンへ向かわせた。
ラムサスはドミニアたちが止めるのも聞かず、ギア・パーラーで出撃した。その頃、最後の『アニマの器』を探すフェイたちと離れ、エリィはニサンへと戻っていた。
襲撃。フェイを求めるラムサスの前に、エリィは立った。
エリィ「何が貴方をそこまでさせるの……?」
ラムサス「俺は天帝の能力を持つ者、即ち完全なヒトとして創られた。しかし、フェイが生まれた事で俺は
廃棄され、塵溜めの中で生を受けた。俺は必死に今の地位まで這い上がった! だが、ヤツはまた
俺の前に立ちふさがった! 俺から全てを奪ったヤツが! ヤツがいる限り俺は……。貴様も俺から
奪うのか!? 俺がやっと手にしたぬくもりを奪うのか!」
エリィ「ラムサス、誰も貴方を攻撃しないわ。心を開いて。愛におびえないで……」
彼女の言葉に困惑したラムサスは、おびえたように飛び去った。何も出来ずに帰還したラムサスは、ガゼルから見放された。そんな彼にカレルレンが語り掛けた。
カレルレン「お前は天帝のコピー。オリジナルが存在する故疎まれる。ならばオリジナルを消去すれば……」『アニマの器』を探すフェイたちは、原初民の遺跡で最後の器を見つけた。リコと同調した器はシューティアと
同化。E・シューティアが誕生した。その帰り道で彼らを待ち受けていたのは、ギアと人機融合したハマー
だった。激しい攻撃を仕掛けるハマーにフェイたちはやむを得ず応戦。負けを悟ったハマーは、キスレブに
戻るようにとリコに最後の言葉を残し、自爆した。彼はリコが総統の息子だと知っていたのだ。
このことで、エリィは深く傷ついた。フェイは、これ以上彼女を戦場には立たせないと決意した。◆天帝暗殺 マハノン浮上!!
カインに、カレルレンとラムサスが迫った。ガゼルの差し金か、と言う天帝の言葉にカレルレンは首を振った。
カレルレン「まさか。彼らの妄執に興味はない。私は私のやり方で人を導く。お前は邪魔なのだ」
ラムサスの剣が振られ、天帝カインは崩れた。カインの死を受けて、ガゼルの法院はついに『ゲーティアの小鍵』を発動させた。
それにより、今まで変異していなかった者までもが変異を始め、彼らの叫び声に呼ばれるように、海底に
没していた神の眠る楽園マハノンが浮上した。
ガゼルは、変異したソラリス人を人機融合兵器に作り変えた大軍を、マハノンに差し向けた。
ガゼルがマハノンに眠る神の知恵を手に入れるのを阻止しようと、フェイたちは総力を結集した。◆追放されし者 神の楽園に帰る
出撃前夜、フェイはエリィに、ユグドラに残るように強い口調で言った。
彼の気持ちを分かっていながら、その辛らつな言葉に、エリィは涙して走り去った。
自分の物言いを反省して追ってきたフェイの想いを受け取ったエリィは、彼の戻るべき場所として帰りを
待つ事を決意。二人はお互いに心を通わせ、愛を確かめ合った。神の眠る楽園マハノン。それは、一万年前に墜落した航宙船エルドリッヂの中央ブロックだった。
襲い掛かるソラリスの軍勢を蹴散らしながら奥へと進んだフェイたちは、腐りかけた巨大生命体を発見
、これを撃破した。その巨大生命体こそ、生体兵器デウスのなれの果てだった。
デウスを破壊し、さらに奥へ向かった彼らは、エルドリッヂの巨大な中枢コンピュータがある広間に出た。
『ラジエルの樹』と呼ばれるそのコンピュータこそが、ガゼルが求める神の知恵の源だった。
彼らはそこから、先史時代について知った。星間戦争。その終結の為に作られた星間戦略統合兵器システム
『デウス』と、その端末兵器群。ガゼルが全宇宙の支配者として君臨するための情報がそこにはあった。
それらの情報を収集する彼らの前に、カレルレンとグラーフが現れた。フェイたちは、グラーフの操る
オリジナル・ヴェルトールに一蹴され、なす術もなく虜囚となった。◆失われし約束の地
フェイたちを助けたくば『ゴルゴダの地』まで来い。カレルレンからのメッセージを受け取ったエリィは、
ランクたちの制止を振り切り、シェバトに残されていたギア・バーラーに乗って単身出撃した。
フェイと仲間達を助けたい。その想いだけでカレルレンの前に立った彼女は、カレルレンの部下達を一旦は
退けるも、力尽きて捕らえられた。エリィを手中にしたカレルレンは、行動を開始した。ガゼルのメモリーを消去し始めたのだ。ガゼルに
よってしか発動できなかった『ゲーティアの小鍵』。その発動により、神の肉体となる事を定められた人々の
覚醒がなった今、彼にとってガゼルの存在価値はなく、また彼らの掲げる宇宙制覇にも興味はなかった。
彼が目指すのは、神との合一。そして、回帰だった。◆君が呼ぶ 哀しみのメルカバー
エリィが連れ去られた後、助け出されたフェイたちは、八方手を尽くしてエリィの行方を探し回った。その結果、
エリィは、カレルレンがラジエルから得たデータを元に建造中の空中要塞メルカバーにいる事が分かった。
ラムサスの身をを案じるエレメンツも仲間に加え、メルカバーに潜入したフェイたちの前に、そのラムサスが
立ちはだかった。エレメンツの言葉も耳に入らぬラムサスは、フェイに対する憎しみの元を語り始めた。彼は、天帝のコピーであり、人工の接触者として培養槽で生を受け、育った。しかし、研究に加わったフェイの
母カレンが、フェイを転生した接触者と知ったことにより、ラムサスは不要とされ、廃棄されたのだった。
そのため、彼は「フェイ」に対しての拭い難い憎しみと、失われた愛情への渇望を抱いた。
「フェイ」を滅するか自らの消滅か。彼はその存在の全てを懸けてフェイに挑み、そして敗北した。ラムサスを退けたフェイらは、最奥部の大広間に出た。そこには巨大なデウスの繭があり、カレルレンと
ミァン、そしてデウスに供されるかのように十字架に架けられたエリィがいた。
突如、フェイたちのギア・バーラーに異変が起こった。アニマの器が分離し、デウスに吸収されたのだ。
アニムスと結合して覚醒し、デウスの部品となること。これこそ、アニマの器の真の意味だった。
動かなくなったギアから降りたフェイたちを押しのけ、呆然としたラムサスがミァに詰め寄った。
自分のしてきた事の意味を問う彼に、ミァンは真実を告げた。ラムサスは天帝を殺すためだけに作られた。
しかし、人工生命である彼は、精神の制御が難しかった。そこで、彼の心に強烈な感情を植え付け、力を
一点に集中させようとした。それが、「フェイ」への憎しみだった。
全てが謀略だと知ったラムサスは逆上し、カレルレンとミァンを斬った。茫然自失とするラムサスを押しのけ、フェイたちはエリィを十字架からおろした。だが、彼女は最早、彼らの
知っているエリィではなかった。彼女はミァンとなっていたのだ。
ミァンの因子。それは、全ての女性の中に存在し、原初の刻より代々覚醒するもの。前任のミァンが死ねば、
どこかの誰かが覚醒し、記憶と能力を受け継いでゆく。ラムサスの副官であったミァンが死んだことにより、
エリィの中のミァン因子が覚醒したのだ。それは、最後のミァンの覚醒。原初の刻に分かたれた、ミァンと
エレハイムの最終的な合一であった。覚醒したエリィは、フェイたちに語り始めた。デウスの本来の目的、ギアやエーテルのエネルギー源である
事象変移機関ゾハルについて、エルドリッヂの墜落、人類がいかにしてこの惑星で生まれたか、そして、
ミァンとエレハイムがなぜ存在するのか……。
話し終わると彼女は、呆然とするフェイたちに背を向け、ナノマシンによって蘇ったカレルレンと共に、
デウスの繭へと向かった。
メルカバーが起動する中、エリィを追えたのはフェイだけだった。シタンたちは、やむなく彼を残し脱出した。◆はるかに遠き 夢の形見は…
メルカバー起動後、世界は蹂躙された。いずれ脅威となる文明の根絶。それがデウスの目的だった。
フェイはあの後、メルカバーのあった場所で仮死状態となっている所を発見された。彼はそのまま、彼の
中に眠る力を恐れるシェバトによってカーボナイト凍結に処せられた。
なぜそれほどフェイの力を恐れるのかと問うシタンに、女王は500年前の出来事を語り始めた。500年前、地上の制圧をもくろむソラリスと、それに対抗するシェバトとの戦争があった。当時シェバトは、
人々の信望を集めていたソフィア(当時のエリィ)を疎ましく思っており、一方のガゼルも、思い通りに
ならないミァンを疎ましく思っていた。そこで二つの国は、互いにソフィアとミァンを差し出し、地上を
分割統治する取引をした。権力欲に溺れた末の決定だった。
その結果ソフィアと彼女を警護していたラカン、カレルレン、ゼファー、ロニ・ファティマらはソラリスの
軍勢に囲まれてしまった。ソフィアは仲間の退路を開くためにたった一人特攻をかけ、壮絶な最期を遂げた。彼女を心から愛していたラカンとカレルレンの絶望は深かった。神など存在しないのだという事を悟った
カレルレンは、自ら神を創り出すと言って姿を消し、後にソラリスへ亡命した。
一方のラカンは、自らの無力さに絶望し、シェバトに捕えられていたミァンにそそのかされ、絶対的な力を
求めて、力の根源である『ゾハル』を探す旅に出た。そしてゾハルの力を得た彼は、肉体を失って残留思念と
なりながらも、デウスの端末である兵器群を率い、世界を破滅させた。
その残留思念こそが、グラーフだった。グラーフはその後、人の精神に宿る術を身につけ、接触者の運命を
持った自らの肉体の転生を待った。その肉体(つまりフェイ)と合一を果たすために。シタンが女王から話を聞いている頃、牢獄に異変が起こっていた。凍結されたフェイが、イドの力により
呪縛を打ち破って脱走したのだ。
彼の向かったのは、太古の昔ゾハルが落着した場所。シタンたちはフェイを追ってそこへ向かった。◆堕ちた星 めざめよと呼ぶ声あり
ゾハルの眠る地下空洞で彼らが見たのは、ゾハルの影響を受けて異形となった、イド化したヴェルトールだった。
襲い掛かってくるヴェルトールに、突如現れたワイズマンのギアが応戦した。
イドに指摘され、ワイズマンは自分がフェイの父親カーンである事を告白した。彼は、分裂してしまった
フェイの人格を一つに戻すため、影になり日向になりフェイを導いて来たのだと語った。
イドは呪いの言葉を吐いた。こうなったのは全てお前のせいだ、と。そして彼は語り始めた。最初は幸せな家庭だった。しかし、ある日突然、母カレンがミァンとして覚醒した。それは単なる偶然で
あったかもしれない。フェイにとっては不幸な偶然。息子が接触者だと気づいたミァンは、少年を研究施設に
連れ込み、様々な実験をした。そのことを父に訴えても、仕事に忙しい父は取り合わなかった。
やがてフェイは、実験の苦痛に耐えるため、新たな人格イドを生み出して苦痛を肩代わりさせ、フェイ自身は
幸せだった頃の思い出に閉じこもった。
そして運命の日。家族の下にグラーフが現れた。それは、ミァンが呼んだものだった。彼女は、完全なる神の
復活の為、過去に分かたれた接触者の肉体と精神との合一を望んでいたのだ。
グラーフに触発されたフェイの力は暴走した。その力の奔流は制御できぬままカレンを貫いた。
フェイはその事をもイドに押し付け、イドは母殺しの十字架まで背負わなければならなくなったのだ。しかし、それは真実ではなかった。イドが『臆病者』と呼ぶ第一の人格が、母の最後の愛情を独り占めして
いたがための、イドの思い違いだった。フェイに促され、『臆病者』はフェイと同化して全ての記憶を渡した。
最後の瞬間、力の奔流は母ではなく、フェイ自身に向かっていた。呆然とするフェイの前に、ミァンの呪縛から
開放されたカレンが飛び出し、身を挺してフェイを守った。真実を知ったイドは、全てを受け入れ、記憶をフェイに託して同化した。それは、全ての接触者の記憶。
原初の時代、現人神と祀られた天帝に反旗を翻し、逃亡するエリィと最初の接触者アベル。アベルを身を挺して
守り、エリィは命を落とした。
ゼボイム時代。エメラダの研究をする接触者キムとその恋人のエリィ。エメラダを軍事利用しようととする
軍隊の侵入を身を挺して阻止し、エリィは命を落とした。
500年前のラカンとエリィ。仲間を助けるために特攻し、エリィは命を落とした。
それぞれの時代、それぞれのエリィが残した最期の言葉。それは『生きて……』。気がつくと、フェイは暗い空間にいた。彼の前には光の姿を取った高次元存在が。
『存在』は、ついに統合を果たしたフェイに、全てを語り始めた。
『存在』の降臨、アベルによる定義づけとエリィの誕生、ゾハルからの開放を望んでいる事、ゾハルを破壊
できるのは接触者であるフェイにしか出来ない事、ゾハルが破壊されればエリィも開放される事など。
エリィを助け出す。その一念で、フェイはゾハルの破壊を決意する。
その決意を見届けた『存在』は、無限の力を持つギア、ゼノギアスを彼に託し、消えていった。現実の世界に戻ったフェイに、カーンの肉体に宿っていたグラーフが襲い掛かった。
たとえデウスを滅ぼしたとしても、人が生き続ける限りミァンが生まれ、人は神の呪縛から逃れられない。
ならば、人も神も全てを滅ぼす以外に真の開放はない。グラーフはそう結論した。故に彼は、フェイと合一して
『存在』との完全なる接触を果たす為に、フェイの成長と人格の統一をカーンの中で待っていたのだ。
しかしフェイは、エリィは必ず呪縛から解き放たれると信じ、グラーフの考えを否定した。互いの信念と未来を懸け、二人は決戦に臨んだ。
戦いの最中、突如二人の機体がゾハルに引き寄せられた。
ゾハルが最後の欠片である接触者との合一を求めたのだ。グラーフは自らゾハルへと飛び込んだ。
代を重ねた事で人がミァンの呪縛から開放されつつある事に、彼は気づいていた。彼はフェイに賭けたのだ。
擬似的な接触者としてゾハルと融合し、フェイがデウスを破壊するまでの時間を稼ごうとした彼は、「エリィを
救ってやってくれ」と言い残し、消えていった。◆全ての始まりにして終わりなる者
シェバトに集まったフェイたちは、エリィ救出の為のメルカバー攻略の作戦を立て、実行した。
戦艦エクスカリバー。シェバトに残されていたこの先史文明の戦艦を特攻させ、彼らはメルカバーを撃墜した。
ところが、墜落したメルカバーから巨大な物体が姿を現した。それは、メルカバーを覆い尽くすほど巨大に
成長したデウスの最終形態だった。ナノマシンの力によって惑星と同化し始めたデウスから強力な衝撃波が
放たれ、一つの大陸が灰燼と帰した。デウスの端末兵器による破壊、殺戮、デウス自身の攻撃。人類は既に
絶滅寸前だった。フェイたちに残された時間は少なかった。彼らは僅かに生き残った人々の、最後の砦となっている、墜落した
シェバトに戻り、態勢を立て直す事にした。
メルカバーから前後不覚のまま救い出された後、シタンの励ましと、エレメンツの娘達の思慕の念に胸打たれ、
ようやく自分を取り戻したラムサスも戦線に加わり、彼らは最後の戦場へと向かった。巨大な構造体となったデウスに侵入したフェイたちは、襲い掛かる端末兵器を蹴散らしながら、迷宮と化した
内部を抜け、最奥部へと到達した。そこには、エネルギーの繭に包まれたデウス本体がいた。
最後の戦い。エリィが最後に乗っていたギア・パーラーが異形化したデウスは、無限にエネルギーを生み出す
ゾハルの力を使い、激しく攻め立てた。それに対抗しうるのは、同じゾハルの力を得たゼノギアスだけだった。
フェイは仲間達のサポート受け、ついにデウスを、そしてゾハルを打ち砕いた。ゾハルの破壊。それによって、ゼノギアス以外のギアは機能を停止した。
そんな中、デウスの中心に巨大なエネルギーが観測された。それは、開放された波動存在が高次元へと
シフトする為に起こったものだった。そのエネルギーは凄まじく、反動で惑星が消滅しかねなかった。
フェイたちがなす術もなく見守るなか、デウスが上昇を始めた。フェイは気づいた。エリィがデウスを
安全圏まで移動させようとしているのだと。エリィはまたしても、自らを犠牲にしようとしていたのだ。
もうエリィを失いたくない。その一心で、フェイはデウスの後を追った。デウスに突入したフェイは、精神世界とでも呼ぶべき場所に立っていた。静かに眠るエリィと、その前に立ち
はだかるカレルレン。
カレルレンは、宇宙の始まりについて語りだした。高次元から零れた波動の一滴。それがこの宇宙の始まりだと。
彼は、互いに傷つけあい、永遠に分かり合えない不完全な人と、その世界に絶望し、全ての始まりである高次元
への回帰を望んでいた。そこには神の愛が満ちていると。
フェイはそれを否定した。不完全だからこそ互いに補って生きていくのが人なのだと。それを一番よく分かって
いるエリィが、絶望に暮れたカレルレンの心を癒すために運命を共にしようとしている。それこそが、人として
生きる事の喜びになるのだと、彼は説得した。
彼の言葉を聞いていたカレルレンは、ウロボロスをフェイにけしかけた。それは、人が神の下から巣立つために、
人の力<愛>を試す最後の試練だった。フェイがそれに打ち勝つのを見届けて、カレルレンはエリィを開放した。人を愛するが故のカレルレンの悲しみ、絶望。彼と同化したエリィにはそれが分かった。しかし、人としての
道を外れてしまった彼は、もはや戻る事は出来なかった。
「お前たちがうらやましいよ……」そう呟いて、彼は神と共に歩む道を選んだ。人には持ち得ない両翼の翼を広げて。
彼の後ろ姿を見送って、フェイとエリィは自分達の世界へ向かった。
デウスの次元シフトの余波が広がる中、二人の乗ったゼノギアスは、仲間たちの待つ地上に舞い降りていった。Xenogears Episode5 END
おまけ
◆エメラダ成長イベント最終決戦に臨む前、フェイたちは戦力アップを目的として各地の遺跡を調査していた。
そんな中彼らは、エメラダの遺跡から見えたゼボイム時代の首都を発見した。
書店やスーパーマーケット、テレビ局など様々な廃墟を見ていくうち、フェイはその時代の事を思い出した。当時、人々は生殖能力に欠陥を持ち、出生率は極端に低下していた。そんな人類に見切りをつけた
ミァンは、国家元首を裏で操り、核戦争を引き起こした。戦争により、人類を強制的に淘汰し、強い
遺伝子を次代に残そうとしたのだ。そんな時代に生きた当時の接触者キムは、狂った世の中に憤っていた。戦乱に明け暮れる国家、
低迷する経済、狂信的な国民。そして何より、子を残せないヒト。
恋人のエリィまでもが子を残せないと知った彼は、何とか新しい生命を生み出そうとした。
そうして生まれたのがエメラダだった。彼とエリィの肉体の構成パターンを参考に生み出されたエメラダを、
二人はわが子のように慈しみ、覚醒の時を心待ちにしていた。
だが、キムの願いが叶う前に人類は核戦争によって破滅し、エメラダの覚醒までには4000年の時を要した。フェイの記憶に触発され、エメラダも全てを知り、受け入れた。
それにより、精神的肉体的に成長し、彼女は成体となって最後の戦いに臨んだ。
ここまでpart5の>>536の人によるまとめ
- 501 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 04/09/05 22:04 ID:iuZUJcgf
- >>495
フェイと言う記憶喪失の青年がいました。
一万年の昔から続く争いに巻き込まれましたが、
真の敵はいつも身内にいました。めでたしめでたし。
真の敵リスト
シタン先生:フェイの師匠ともいうべき存在
エリー:フェイの彼女
バルト:フェイの親友
イド、他:フェイ
- 183 名無しさん@お腹いっぱい。 sage 2005/04/06(水) 03:02:49 ID:Yh18XVju
-
あれの評価が高いのは広げた風呂敷たたみきったことが大きいから、
要約見ても・・と言う気がするが。
要するに管理された世界からの脱却って言う、メガテンや棄てプリとか良くある話なんだ。
それに色々くっつけて複雑になってる。
ばっさりと切って要約すると、
デウスというシステムが破壊され、とある惑星に落下した。
デウスは自分を復活させる為に人間を作り出した。
で、最後に人間がデウスを破壊、独り立ちしてEND -
- 184 ゼノギアス sage 2005/04/06(水) 03:12:41 ID:uh1/Q2E6
-
巨大植民宇宙船が航行中、輸送していた超兵器「デウス」が暴走して惑星に墜落。
生存者はアベルという男の子一名のみ。
デウスの特殊な動力源「ゾハル」には神のようなものである異次元存在
「波動存在」が閉じ込められているが、アベルがゾハルに接触した時に
アベルの母を求める心に波動存在が反応して、ゾハルのパーツから女の人が発生。
その女の人は未来にデウスの修復材料にするために新たに人間を作り出してから、
アベルを愛して守る母性愛係のエリィと、人間社会を操ってデウスを修復させる
デウスのパーツとしての係のミァンに分離した。
アベルもエリィもミァンも転生を繰り返す仕組だが、記憶を保つのはミァンのみ。
しかもなぜかエリィの転生体は毎回アベルの転生体を守る為に死んでいく。
墜落から一万年程経ち、女の人に作られた人間達は十分繁栄、進化していた。
ミァンとそれに操られている国ソラリスはとうとう人間を
デウスのパーツにしちゃう計画を秘密裏に本格始動しはじめる。
一般人はそんな事知らないが、ソラリスの元老達はデウスを神みたいに
思っておりそこに同化できて共に宇宙進攻できるなら本望なのだ。
その上、アベルのある回の転生体のエリィを守れなかったという怨念が
生霊になったものである、全てを破壊しようとする怪人グラーフや、
グラーフが発生する原因になったその回のエリィに惚れてたのに死なれて絶望し、
もうデウスを復活させて神の御元に至りたくなったカレルレンという
男の思惑まで重なってかなりヤバい状況に。
このままでは人間はデウスの部品になるかグラーフに蹂躙されるかでどっちにしろ滅亡。
現在のアベルの転生体である主人公、フェイは、今回の転生でも出会ったエリィや
さまざまな仲間とともに、ソラリスやグラーフと戦っていく事になる。
フェイはミァンやグラーフのせいで多重人格や記憶喪失などを抱えているが
それを乗り越え、さらに今回の人生でも出会ったエリィと共に、
今までの全ての転生体の記憶も知る。
人間的に成長したフェイはついにグラーフを討つとともにゾハルに接触。
波動存在に「閉じ込められてるの嫌だからデウスとゾハルぶっこわしてくれ」と
頼まれ、力を分けてもらう。
一方、エリィはミァンに統合されてしまい復活しかけのデウスに取り込まれてしまう。
フェイや仲間達はエリィを取り戻し人類も救うためデウスに突入し、
ついにデウスの中核を破壊する。
エリィはミァンから解放されてフェイと再会、カレルレンはそんな二人に
「お前たちがうらやましいよ…」と告げ、ゾハルから解放された
波動存在の御元へと旅立った。
フェイとエリィは仲間達の元に無事帰還し、人類は救われた。
滅びの神や母、運命から解き放たれたこの惑星の人々は
これからどんな道を歩むのだろうか?